| 焼き物が続いてしまいましたが、これも祖母の持っていた煎茶茶碗です。呉須の薄手の茶碗五揃いですが、縁の欠けた痕跡のある茶碗が二,三あります。しかしながらそれらは金漆で修理してあります。欠けたままにしていないので曾祖父が大切にしていたのだと思います。
 金漆修理は、最近修理キットが販売されて静かなブームのようです。私もこの技術を覚えたいと思っていますが、なかなか機会がありません。まさか大事な茶碗を壊して修理術を会得するわけにはいきませんが、いずれは身につけたいと思います。 西洋では認められない修理術であると聞いたことがありますが、我が国では千利休の昔からあった修理方法で、漆で継いだ後、金を蒔いて見栄えよくしたものです。中国から焼き物の技術とともに伝わってきたのでしょう。 明治年間には、有田の町を「金接ぎ修理をやりますよ。」と回ってくる中国の職人が居たそうです。大きな鉢が割れてしまっても金属の鎹(かすがい)と金漆を使って実に味のある修理をしてくれたようです。実家にもそのような修理跡のある鉢があったと思うのですが、既に散逸して身内の誰が持っているか分からなくなってしまいました。 100年近く経過した修理跡も金と漆の力でご覧のように輝いています。時代を超える名もない職人技。いいですねぇー。 |
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