からくりアルバム


真空エンジン



 炎を食べて動くエンジンである。古くから存在していた原動機であるが、決して主流に
はなり得ない機械である。高温の炎がシリンダーの中に吸い込まれると周囲の放熱フィ
ンで熱が放散され急激に温度が下がると当然のことながら気体が収縮してしまう。この
収縮する力すなわち真空力を回転力に変えるわけである。
で、ここで忘れてはならないのがどのタイミングで炎を食べるかである。これをご覧いた
だきたい。


シリンダーヘッドには炎を吸い込む穴があり、底には上下する蓋が付いている。ピスト
ンが上死点に近づくと蓋が開いてガスを排出するとともに下死点へ向かう行程でたっぷ
りアルコールランプの炎を吸い込むのである。人間がそんなことをやれば死んでしまう
のであるが、真空エンジンはへっちゃらである。
吸い込んだ途端に蓋が閉まり冷まされて気体は縮み込むのである。シリンダー内は急
激に圧力が下がるのでピストンは真空力で上死点へ向かうのである。

つまり、このエンジンの原動力は大気圧、この自然力を使っているのである。

自然力を使うと云えば格好いいのであるがそれだけの力しか発揮できないのである。
内燃機関が何千度にもなる爆発力で動くのとは大きな違いなのである。再生可能エネ
ルギーが産み出す力は緩やかな力なので何処まで現代文明を支え得るのか疑問に思
わさせられるエンジンである。



構造は単純で、ピストンから伸びるクランクシャフトとそれに付く偏心カムがあってカム
の位置で先のシリンダヘッドについた稼働蓋を回転に同期させているのである。
炎をシリンダヘッドに近づけて起動するとポコポコと石油発動機のような音を立てて回
転するのである。思いの外大きな音なので模型とは云え存在感のあるエンジンである。
 しかしながら、力はなく見かけ倒しのエンジンでもある。 心和むところに存在価値を
感じるのである。

実はこのエンジンの前に学研大人の科学の真空エンジンを作ったことがあるのであ
るが、手元に写真がない。いずれ追記することとしたい。

そうそう、この珍しいエンジンは何回かヤフオクでお世話になっている方から入手したも
のである。いつも丁寧にご指導いただけるので安心して手を挙げることの出来る方な
のである。
ウチに居るライブスチーム Katie もその一つである。

似たようなエンジンに先に紹介したスターリングエンジンがある。


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