| 90数歳になる友人の父上は、十四代辻常陸(つじひたち)という窯元です。その窯、佐賀県有田町の辻精磁社の展示会が7月上旬に新宿の京王百貨店で行われました。明治初期にアメリカ建国百周年記念のフィラデルフィア万博に出品した香炉の復元品が展示されており呉須の焼き物に混じって圧巻でした。もちろん東京の番頭である友人は、店番です。その折り、彼の曾祖父の時代(明治10年代)に一瞬だけ「精磁会社」という幻の銘窯を創設していたことを知りました。その頃私の曾祖父とは友人同士だったようです。「精磁会社の御紋章入りのカップがウチにあったはずだよ」と友人に宣言して自宅を捜索しましたら数少ない曾祖父の遺品をやっと見つけました。結婚の際実家からもらったものですが、御用品だったとは聞いていませんでした。いわれてみると、どうやらそのようです。装飾はレリーフ風で立体的に仕上げてあります。内側は白磁で、ガラスのような薄さに明治初期の職人達の意気込みを感じさせられる品物です。子供の頃から好きだったものです。 もう一枚精磁会社の皿が見つかりました。手元に置いておきます。古伊万里も素敵ですが、明治の焼き物は西欧風の文明開化の匂いがして大変面白く思います。 |
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