スターリングエンジン (Stirling engine) は、シリンダー内の気体を外部から加熱・冷却す ることで力を得る外燃機関です。外燃機関でありながら蒸気機関では必須のボイラー がなく、炎から直接力を取り出しているというイメージのエンジンであり運転音も大変静 かです。 このエンジンはスコットランドの牧師ロバート・スターリングが1816年に発明し たとのことで既に200年を経過したエンジンです。 ところが、このエンジンの実現には ロスをなくすための様々な技術がともなわず、その後発明された蒸気機関に取って代 わられてしまい一般の目からは忘れ去られた存在になりました。
最近になり、省エネルギー、素材や加工技術の進化によって見直されてきたようです。 海上自衛隊では潜水艦のエンジンとして注目されてスウェーデンの技術をベースに実 用化が図られ、最近の新造潜水艦「そうりゅう」 はスターリングエンジンを利用してい るようです。 模型ですが、このエンジンを作動させて推測するにディーゼルエンジンよ り遙かに小さな音であろうと想像できます。 ただ、エンジン出力を上げるには様々な課 題もありそうですが、世界一を目指して欲しいものです。戦前独逸潜水艦が搭載してい たという過酸化水素水を利用したワルターエンジンなるものを松本零二氏の漫画で知 りました。この話とオーバーラップするのは世代ですね。
さて、静岡インドア・ライブスチーム会場から我が家に到来した協和合金のスターリング エンジンはご覧のように発電機とセットの可愛いものです。 アルコールランプの炎が LEDランプの光に変換するわけです。外部出力端子も備えているので携帯充電やLED 照明器具などの低電力装置であれば色々利用可能です。もちろんこの模型場合の問 題は運転時間が20分以内と云う制約があるので耐久性と思われます。 アルコールラ ンプを直接使うので風に弱く不燃フードは必須です。 これを求めた展示ブースでは風 に強いバーナー式ガスライターを熱源としてうまく使っていました。
熱を直接回転力に変換出来る「からくり」が高効率化されるとまた新たなエネルギー源 になりそうです。毎日ゴミ焼却場で出てくる熱をプールだけではなくて電気にも変えて欲 しいものです。 更に云えば究極の発電はペルチェ素子のような直接発電と思います がなかなか実用化されそうにありません。 それほど原子力発電が高効率だったと云う ことのようです。これまでの電源供給計画は固定量の原子力発電の上に各種発電が 乗っていましたが、この絵が変わって初めて新電力供給計画が見えたと云えるのでしょ う。 長い道程のようです。
さて、話を元に戻すと、 このエンジンの仕様はカタログによるとボア18mm、ストローク11mm、回転数3000rpm、 軸出力0.6Wとあります。ストロークが短いせいか回転数が高いようですね。出力計算は どうすればいいのか今のところ不明ですが、かなり低出力のような気がします。 あと、 蒸気機関と違い速度制御が困難なことと自己起動が出来ないことで戸惑っています。 エアで回すエンジン程度の静かな回転音です。
世に出て200年、まだまだこれから発展する余地のあるのスターリングエンジンであろう と楽しく想像しています。
(追記 2011.9.21) その後、エンジン出力を50%アップするというハイパワーセットが開発されたので早速 入手して動かしました。部品を幾つか交換しただけです。 無負荷で動かすと唸りを上 げて回り、出力の5割アップを実感できました。3,000rpmとのことでした。 シリンダヘッドの構造を変え、熱容量と熱交換能力を上げたことが出力増に寄与したよ うです。これなら更に応用範囲が拡がることでしょう。青いヘッドが新型のエンジンで す。
このハイパワー化では、ケアレズミスをやっていることに気が付かないまま 協和合金 へ相談に行きました。(^0^;) ところが一発で問題点を発見して高機能化することが出来ました。様々な話も拝聴でき たので怪我の功名となった改造ミスでした。 協和合金さま、その節はお世話になりま した。 |
|