| ラジコンヘリという小難しい模型があることは知っていた。(笑) メインローターとテールローターのピッチの微妙な制御とともに回転数、回転面全体の傾斜で360度方向へ自在に飛行させるのである。と言うことは1ch,2chという柔なラジコンではなく6ch以上の機能が必要なようである。 そんな器用なことは絶対に出来るわけがないと机上で考える悪い癖のために見向きもしたことがなかった。 近年になり、キーエンス社のジャイロ付き小型ヘリコプターやヒロポ社の二重反転メインローターヘリが出現し、操縦が比較的に易しくなってきたと聞いていたが、まだ自分が手を出す模型とは思っていなかった。それに数万円の出費を考えると果たして飛ばせるかどうか分からない代物へのチャレンジには躊躇させられていた。
ところが、どういう仕掛けか分からないもののハニービーなる四千円以下のラジコンヘリが出現し、アマゾンのカスタマー評価を見ても比較的好意的なものが多いのでぐらっと来てしまっていた。(汗) 十月末に新宿ヨドバシに立ち寄ったところこのヘリが3900円で並び、その脇にやや大きくバージョンアップしたヘリが5800円である。電池専用だった前者ヘリの電源を100V充電式にしてパワーアップしたもののようである。これなら貯まっているポイントで買えそうである。ということで気が付けば我が家で充電していたのである。
電源、オン。恐る恐るスティックを倒していくとまずテールローターが回転し、メインローターはゆっくりと動き始める。 「あれっ機体がテールローターで振り回される。」と思った瞬間、急激にメインローターの回転が増し、機体が浮き上がった。 テールローターが先に効いてぐらつくもののメインローターの回転数上昇とともにモーメントのバランスがとれ自動的に安定する感覚が不思議である。ビギナーズラックのようだ。 このヘリは実物のようにローターの回転面を傾ける方向制御が出来ないために飛行方向を明確に決めることが困難なのであるが、テールの回転数を変化させることで飛行の向きに変化を加えることは可能である。ちょっと難しそうであるがこれを利用することで方向制御が出来るというのが説明書の謳い文句である。 実際には、かなりの練度が必要で「私にはでけん。」という状態がまだ続いている。
 <頭でっかちのスタイル、実際上部が重いのです。>
さて、構造を見てみよう。 まずメインローターの役割である。目に付くのは二重構造のプロペラである。一見すればモーメントを消し合う二重反転プロペラのようであるが、この価格では機構的にあり得ず二枚の羽根は同一方向に回っているのである。 それでは何のために二重なのか不思議なので子細に見ると、直径の小さな上部ローターの先端には錘が入っており、メインローターの全体の質量を大きなものにしている。つまり重いジャイロがメインローターの上で回っていると思えばいいだろう。 この大きなモーメントを打ち消すためにテールローターは重要なので単独のモーターと不釣り合いなくらい大きな直径でひねりの大きな三枚羽根のプロペラで推力を強めてあるようである。
 <三枚羽根ローター、分かりづらくて失礼しました。>
メインロータ下部は機体を浮かび上がらせる推力を発生するための更に大きな直径の羽根である。この羽根はピッチが変化するようにスイングする。
 <独特のリンク構造。上部はシーソー下部はスイングします。>
上部の羽根は回転軸を支点にシーソー動作でありメインローターのスイングとはまた違った動き方である。 上下の羽根は互いにリンクされており上部のシーソー運動で下部のピッチが変化する。多分回転面の変動を水平な回転に収束するように補正し合う組み合わせだと思った。回転時の風圧で大きな下部ローターのピッチを最小にしようとすると自ずと上部ローターは水平回転に落ち着くのである。その逆の動作も起こるのである。 もう少し眺めてみると、上部ローターは、推力は小型ながらも錘の効果でジャイロの役割を担い、機体の傾きを同じ状態を保つ作用をしている。 試みに手に持ったままスロットルを上げ、高速回転になった時点で機体を傾けると元の位置への復元力を感じることが出来る。 自然の摂理を巧みに利用したお遊びラジコンであることに感心した。 ピンポイントで離着陸する本格的な操縦は原理的には無理であるが、ゆるゆると広い部屋を飛行させる技術は瞬時に会得出来るだろう。 説明書をよく読むと左右15m取ることとあるので家の中の飛行ではストレスが起きそうである。(汗)
電源を入れると操縦室下部の発光ダイオードが点滅し本物の航空灯のようである。スロットルを上げていくとテールローターが勢い良く回転し機体がその推力で回ろうとするが、質量の大きいメインローターが一呼吸おいて回転を始めるとモーメントが釣り合いそのまま浮かび上がるのである。この間二秒程度、微妙な推力コントロールとテールコントロールが必要なのであるが、離陸のために上げたスロットルを戻し忘れたり、期待の回転を止めるつもりのテール操作を誤ったりでなかなか思い通りに動いてくれないのである。せめてホバリングをと思っても一点に静止させるのは飛行方向の制御が出来ないこの機では難しい。 が、ある程度の広さがあればその空間をふわりと浮かんでくれるのは楽しいものである。 かような状態でしばらく操縦したけれども下手な飛行のままである。思い切って風のない日に庭先で飛ばしたところ予想以上に上昇し隣家の屋根に墜落するところであった。(汗) 腕の上がるのが先か機体が壊れるのが先かという状態がまだ続いているが、まさか自分でラジコンヘリの操縦体験をするとは夢のような話である。しかもホバリングが簡単に出来るのだから楽しいことこの上ない完成版ラジコンである。好きな方には願ってもない高級玩具であろう。 そうそうこの充電式ヘリの飛び方から考えると室内用には電池式の安価なものが適しているのではないだろうか。(2006.12.01) |
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