思い浮かぶことども

2002.5.29 仮想現実から抜けだそう


 子供達の世界にファミリーコンピュータに代表される仮想現実の遊びが入り込んでからどれほどの時間が経過したのだろう。昭和53年頃NECの組立式パーソナルコンピュータTK-80BSを恐る恐る購入し、我が家にもコンピューターが来る時代になったのかと感慨深く思ったのも一瞬で、感傷に浸る時間もなく当時のホストコンピュータを凌ぐものが一般家庭に溢れかえってきた。
 コンピュータというかゲームマシンは確かに面白い、大人にしてこの有様なので子供達の興味を引くのは当然であるが、あまりにも現実離れをした仮想空間を漂流することが果たして次世代の人類にとって良いことかどうかはなはだ疑わしい限りである。
 かくいう私もパソコンゲームにのめり込み、寝る間を惜しんで遊んだ時期がある。しかしながら実体を産み出すこともないゲームと戯れていると、頭脳の訓練という言い訳とともに時間の浪費感による自己嫌悪にさいなまれた。パソコンゲームに対する嫌悪感はこの頃生まれたように思っている。
 時間の貴重さは歳とともにひしひしと重みを増してくる。「少年老い易く学成り難」という若い時代に笑って聞き流した言葉が身に染みるようになった。ということは「階前の梧葉既に秋声」*なのである。
 「生活してきた、いや生活している軌跡を最も興味ある切り口で整理してみよう。」というごく素直な気持ちで書き溜めていた文章があったので、このHomepageのネタとした。人様の目に触れるとなるといい加減な中身ではまずいという気持ちもあって見直しに頑張ってみたものの未熟さが随所に残ってしまった。さてさて、この辺が私の限界かなということでご容赦願おうと思っている。
 本題に戻すと、少なくとも会社から離れた自己の世界ではパソコンに代表される仮想世界から離れ、現実の機構そのもののからくりに親しんでいくつもりである。世の中の仕掛けも末端においては誰かが手を下さなければ前進することもないのである。頭の中やパソコンの画面で思考し、世界を動かしている気持ちになるのではなく、指先、或いは眼前で実体のある本物を作り上げていきたいと思ってやまないのである。楽しい結果報告をHomepageに描くことができるように時間を大切に扱いたいと思うのである。
 最近の多忙さにかまけてHomepage更新すら停滞している現実は、会社という仮想世界での時間の浪費が激しく実世界に戻れぬ状態に陥っているのかも知れない。
現状を超えた自分の世界を是非とも創り上げたいものである。
(2002.5.25)

*
偶成   朱熹(朱子)(1130-1200)

少年老い易く学成り難し
一寸の光陰軽んずべからず
未だ覚めず池塘春草の夢
階前の梧葉既に秋声





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