思い浮かぶことども
小中学校の先生にお訊ねしたいのであるが、子供たちの引き出しにはナイフ、ねじ回し、半田鏝等の物作り道具がどの位入っているのであろうか。 子供の頃、欲しくてたまらなかったものが半田鏝である。更にテスターが揃った際にはいっぱしの技術者になった気分であった。近所の金物屋に出かけては、炭火で加熱する半田鏝でトタン製の雨樋を手品のように組み立てる様を飽かずに眺めていた。 ハンドドリル、ねじ回しセット、ラジオペンチにニッパー等々が備わったのは真空管ラジオ工作に興味を持った中学時代であった。残念なことは、木工作に必要な鋸、鑿(のみ)、鉋(かんな)等の和道具に親しまなかったのは大失策と思っている。この分野は食指が動かず腕も上がらない。ご近所のK先輩の専門分野は木工作なので相変わらず頭が上がらないままである。生意気盛りに興味を持った技術がその後の趣味人生をここまで支配するとは思い及ばなかった。 物作りが日本文化から遠ざかるようになって久しいと思われるが、実は思春期における物作り思想の埋め込みが重要であると自分の経験に照らして常々考えている。 50歳を過ぎてから気付いたので子弟の教育には遅きに失したのではあるが・・・・・ ちなみに現在の小生の引き出しは、カメラの修理を始め電気・機械工作に関する小道具に溢れかえっており、物作りの精神に満ち満ちた環境を保っている。ただし、家人からの評判は極めて悪く「引き出しどころか部屋全体がゴミ箱だ。」と指摘されている。またどれほど稼働しているかは聞かないでいただきたい。(汗) 私にとっては工具・道具を楽しみつつ揃えていく、これが物作りの出発点というか原点のような気がしてならない。 子供達が工具類に興味を持ち始めると物作り日本の復活が始まったと云えるのかも知れない。(2002.6.8) |
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