クラカメ好きですか


遅れてきたNikon(S2,SP) (2000.10.10)

 カメラの師匠であるOTOMENさんことN氏がいる。この御仁は知る人ぞ知るNikonコレクターである。ただし、ご本人は、真のコレクターには、まだまだとご謙遜なさるのであるが、まともなNikonを一台も持っていなかった小生にとっては憧れの世界に遊んでおられる仙人、貴人であり、羨ましくて仕方なかったのである。
ところが、この春、永年勤めていた某通信会社をめでたく勇退することとなり僅かながらの退職金を手にすることとなった。

 さて、このお金の使い道に困った小生は(笑)、カメラに投資することとしレンジファインダーNikonを初めて手に入れたのである。記念すべき最初のS型Nikonは、S2黒ダイアルと有名な5cm/f1.4であった。いざ手にしてその感触に驚いた。
今まではN氏等々の先輩諸氏の保有するS型をちょっとだけ借りて空シャッターを切り、「うん、こんなものか。」としたり顔をするのであるが、自分のものとなると態度を豹変して真剣に機械と勝負しその出来に驚愕した。
まず、しっくりと手になじむのである。外形はCONTAXなのだが全く異なる感触と存在感がある。輸出向けに作っていても日本人のDNAが含まれているようである。シャッターを押した感覚はライカM3と比較すると「元気いいの一言」である。
切れのいい音とともにシャッターが落ちる。いかにも写したという感じがするのである。 
 NikonミレニアムカメラS3の復活とともにどんどん値段が上昇しているS型であるが、かろうじてピーク値を外したと思える程々の価格で入手出来たのであるが、、数年前の相場と比べると愕然とする価格だったかも知れない。「これではいかん」と思い直し、ナンピン買いに走り、S2白、更にはオークションでS2黒を追加をしてしまった。前者は中古カメラ店委託にも関わらず数年前の価格で購入することができた。更に、気合いを入れ東京の片田舎を周回して10.5cm/f2.5と3.5cm/f3.5を相場よりもグッと安く手に入れることができたのである。更に勢いで3.5cm/f1.8もである。

 正統な組み合わせが集まれば集まるほど欲しくなるのがアクセサリ類である。先日はS3とSP用の連動露出計を入手したし、まだ持っていない8.5cmレンズ用のファインダーをネットオークションで安く落札してしまった。

(ニコンS2、大変実用的なカメラである。)

  その後、この8.5cmレンズをファインダーと革ケース完備で梅ヶ丘の骨董屋「ペチコートレイン」で超激安ゲットしたと思ったのも束の間、このレンズはなんとまあ、RF_Contax用であったのである。残念ながらS型Nikonに装着できなかったものの正統なRF_Contaxに付けると重厚な姿で小生に写真を撮れと迫るのである。
この機会に改めてRF_Contaxをじっくり見直してみたが、S型Nikonよりも工作精度では一歩上を行っていると思える。特徴あるレンズマウントとレンズの構造、彫り込んだ文字に更に金を入れたボディ番号、更にはContaxと刻まれた芸術的なロゴ、どう見てもNikonを越えている。ところがどうしたことか世間はContaxを受け入れなかったのである。
現在は、かってのライバルの地、日本で京セラContaxとして正統な後継者とは言い難い姿で生き続けているのである。

 NikonS型は、RF_Contaxに比較して軽快の一言である。いつでも気軽にお供します。という印象が強い。この違いはS型の所有権を手にするまでは全く気が付かなかったことである。主観的な思いこみかも知れないがカメラとは所詮そんなものであろう。
このような状況で最近は遅れてきたNikonと親しく遊んでいるのである。
省みると、退職後のNikon狂い様は尋常でなく、罪悪感との戦いのような気がしてならない。今まで抑圧されたものが一気に吹き出る勢いである。
というものの一介の真面目なサラリーマンは、壊れるわけにもいかず日々の宮仕え生活を楽しみながら?帰宅後のカメラとの会話を期待しつつ仕事に向かっているのである。


 (何故かSPの写真)(笑)

 このSPは、HIDENORI氏のオーバーホールで完全に蘇った。ファインダーのガラスブロックや前面の硝子、そして接眼レンズ部まで再蒸着を施して貰ったために新品以上の見えにになったのではないかと自負している。更に、電蝕と思われるホールも全く分からないように修理して貰った。おかげて手放せぬお宝となったのである。ただ、広角ファインダーの修復は極めて困難だったとのことでいささか見えづらい状態となってしまった。後述のS3についても同じく再蒸着で新品となった。新生S3を買うのを早まったかと思わせる出来映えであった。
S型ニコンに囲まれると日本人としての満足感に浸ることが出来るから不思議なものである。







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