クラカメ好きですか


S3来る(S3) (2000.11.10)

  「S3再生ノ報ニ接シ、コレヲ完全取得セントス、収集ノ興廃此ノ確保ニアリ、蓄財一層奮励努力セヨ! 本日天気晴朗ナレドモ波高シ」という何処かで聞いたことのある一節が思い浮かんでくる。

 緒戦においては、重巡S2黒ダイアルを制覇。その傍らに並ぶ戦艦SPは、あまりの高値と選択眼の乏しさにより撃沈不能と判断し攻撃を断念するに至ったのである。もっとも、その個体は、値段に見合う価値があるのか、いささか怪しいものと思われたので後悔は全くなかった。その後、新たなSPを撃破し得たこともあり、緒戦での判断が正しかったことを自画自賛しているのである。
 さて、最初に入手したS2であるが、軽快なシャッター音と手の中にしっかり収まるグリップ感が気に入った。CONTAXと同じ形状であるにもかかわらず何か親しみ感が違うのである。日本人の手によって作り出されたことできっとDNAが違うのであろうと「遅れてきたNIKON」という拙文に既に書いている。
 これがS型ニコンとの初邂逅であり坂道を転げ落ちるニコン・レンジファインダー(RF)病の始まりであった。さて、小手調べと続いてS2・白ダイアルを入手した。幸か不幸か世間がS型ニコンに目を向ける直前であったので都心のマイナーな店とオークションに依って比較的安い価格での入渠となった。

 続いてレンズである。「まずは広角が欲しい、いやそれだけではちょっともの足りぬ、新生S3のためには都内を走り回ってでも見劣りせぬアクセサリー艦隊の整備をせねば」と自縛にあってしまった。
 その甲斐あってか短期間に不十分ながらレンズだけでなくアクセサリまで少々集めることが出来たのは幸いであった。S3再来のニュースとともに最近はS型の高騰ぶりがとみに著しく、並の作戦ではもはや集める手段も尽き果てた感がある。
 かくして八八艦隊設立は、もはや予算的に成り立たず、ロンドン条約の締結となれば写すしかない。それならば月月火水木金々の訓練であるということで手持ちのRFニコンが活躍開始になったのである。(とはちと言い過ぎか)

 まあ、猛訓練の話は別として、このところのお気に入りは、35mm/f1.8である。製造後40年経過したとは思えぬクリアな写り具合が他のレンズより一歩抜きんでているように感じる。大変安定した結果を得ることができるで報道写真用レンズとして第一線で使われてきたということも充分理解できる。

 新生S3の完成を待ちこがれているある日。ドイの中古コーナーにオリジナルS3が並んでいるという情報である。しかも相場以下の格安価格が付いている。聞けば、プリズムのコーティング落ちを理由に適価に店員殿が設定したとのことである。これは即導入するしかない。
 かくして新生S3の半分以下の値段でオリジナルが我がものとなってしまったのである。しかもチタン幕シャッターであり、黒胴の5cm/f2が付いていたのである。
現在、このカメラはHIDENORI氏のもとでオーバーホール中であり完成の時が待ち遠しい次第である。

 さて、10月28日、待ちに待ったS3到着の報が入った。いつものカメラ店に駆けつけて手に取る。「これが新品のファインダーか」、じーっと眺める。やはりクリアである。が、アルバダ式のせいか眼鏡の私には反射が若干気になる。やはりファインダーはSP、更には大御所M3が格上であることを実機で確認できた。やっぱりライカは偉いのか?
 新生S3のシャッター音は軽やかで静かである。何度も空シャッターを切りたくなってしまうのであるが、切れば切るほど中古になっていくという問題を秘めているので押す指の力も弱まりがちである。まあ、ともかくRF機の標準機がこうして手に入ったのである。使おうか、しまっておこうか。思い悩んでいる。攻守相乱れ支離滅裂のニコン攻略海戦、継続中である。そろそろ白旗気味かも知れないが・・・
(2000.11.10)







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