からくり鐡道の仲間達

昭和51年(1986)頃入手 NYC・HUDSON(Nゲージ)


 この機関車も実物調査ができぬまま(やる気がない?)になっている著名な機関車です。日本で云えば、C62に相当する花形機関車だと思います。機能美あふれる面構からその秀逸さを理解できるような気がします。New York - Boston間を疾走していた機関車と思いますが、無給水運転を狙って炭水車の底部に腕木式の給水装置を持っています。これは二本の線路間に設けられた水槽に走行中に腕木を下ろし走行時にかかる水圧を利用してテンダーに水を押し上げるという恐ろしいシステムのです。吸水口の昇降のタイミング、取水時間を考えると手練の技が必要なようで、実用性があったのか疑問に思います。運転室からどのような操作を行っていたのか大変興味があります。
このように日本の蒸気機関車の常識を逸脱しているのが米国型機関車であり、システマチックな未知のからくりがまだまだありそうです。
さて、このNゲージ模型の入手経緯の詳細はポッポの煙に記述したのでそちらに譲ることとしますが、最初の出会いで日本型蒸気機関車にはないその力強い姿に感動しました。加えて日本の関水金属(現KATO)の製品であることを知り、HO真鍮モデルの技がNゲージのプラスチックボディに継承されているように思いました。Nゲージに本気になったのはこの機関車に出会ったことが大きいと思います。

          <NゲージのNYCハドソン>

その頃(S.51)は、所沢の東京航空交通管制部でエンルート管制のためのレーダー情報処理(RDP)システムの開発をしており仕事柄全国出張も多く、この旅費の残りを貯めてはこれらの機関車に替えていました。いずれ紹介する機関車の幾つは、このようなやりくりで手に入れたものであり20年以上経過しても機関車を通して当時の我が家や仕事を髣髴とさせてくれる愛着のある機関車達です。

 余談ですが、今年(2004)4/8にRDPシステムの故障がマスコミに取り上げられショックでした。S.53年の運転開始から現在まで、私の知る限りではダウンしたことはなかったと思います。
開発では通信制御方式の設計に始まり、完成前は制御系総合試験担当としてどのような問題を起こせばシステムダウンに至るかということに連日悩んでいました。かようにハード、ソフト的に頑健なシステムであるはずだったのに原因はともかく今回の故障にはOBとしても恥ずかしく感じています。
 システム全体を二重系としデュアル運転を実現し、装置故障時には自動切り離しや切り替え機能、システムダウンからの自動復帰も持たせました。まだまだIBMやユニバックといった米国企業が神様だった航空管制という分野に運輸省電電公社日本電気という日本のグループで苦労しながら切り開いたシステムです。動いて当たり前の縁の下の力持ちシステムでありますが、30数年昔に2,3世代先の技術レベルに到達していたシステムを作り上げていたことはもっと日本の技術を評価してもいいのではないかと思います。今回のシステム故障が昔のことを思い出させてくれました。
 話を戻しますが、このHudsonは、日本型と異なり全体が大柄なので加工が容易です。1台はテンダーに超小型スピーカをコンデンサー経由で組み込み動輪にエポキシ樹脂で接点を付加しFMノイズを直流電源に重畳装置を自作して排気音発生システムを作ったこともあります。そんなことを思い出すと、その頃は我ながら元気だったんだなぁーと愚痴りたくなってしまいます。(汗)
 当時のNゲージ日本型蒸機には真鍮にクロームメッキした動輪が使われていましたが、Hudosonには第三動輪にシリコン製の滑り止めゴムが装着されており米国レイアウトでの長編成運転に十分耐えうる牽引力を持たせているようでした。また、DC12Vの五極モーターは当時としては強力で香港製や独逸製の3極モーターを寄せ付けませんでした。
 最近のNゲージ動力車の殆どは、このフリクションゴムを装着するようになっており、加工精度向上で効果の高いフライホールと更に性能の上がったモーターとともに本物のように安定走行する機関車が増えてきたのは嬉しい限りです。
この機関車は、先だってオークションで新たに2台入手することができたので4、5輌の現役機関車がレイアウトへの入線を待ちわびているようです。
鉄道模型2666の板橋さんのハドソンには比べるべくもありませんが、こちらは数で頑張っています。(笑) 素晴らしい機関車ですねハドソンは。(2004.8.3)







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