からくり鐡道の仲間達

SP Cabforward(Nゲージ)


 蒸気機関車の常識を破り、運転室を前方に持っているSouthen Pasificの2-8-8-4マレー型機関車です。この機関車についての購入経緯は既にポッポの煙で紹介しているのでそちらに譲ることとしますが、ここでは切り口を代えてこの珍奇で巨大な機関車について思いつくことを書いてみました。
 蒸気機関車には煙が付き物です。今でこそ「あ、石炭の匂いだ。なつかしいなぁー。」と語られるのですが、石炭の煙に毎日責められているとなるとこうはいきません。蒸気機関車全盛時代をご存じの方に思い出していただきたいのですが、窓から吹き込む煤煙での汚れ、目に飛び込む微少な石炭殻、大変つらい思いをされた方も多いと思います。
客車にいてこんな有様だから運転室は更にひどかったと思います。これは日本もアメリカも同様で、蒸気機関車全盛であっても関門トンネル等のように部分的電化で煙害を避けていた区間があったことはご存じと思います。
 ところが、米国では運転室を最前方に配置して煙から逃げると云う日本の常識では考えられないことをやってしまったのです。これがアメリカのからくり度のすごいところであり、米国型鉄道の魅力だと少なくとも私は考えています。(笑)


 Cabforwardは、名前の通り普通の機関車とボイラーが逆向きなので後ろ向きに投炭しなければなりません。
「いや、待てよ。テンダーは機関車の遙か後方だ!投炭はどうするんだ。」
 その通りです。この機関車は重油炊です。石油資源の乏しい我が国では到底真似のできない機関車なのです。
 煙室とテンダーの間には居心地良さそうな空間のモンキーウォークがありますが、実はこの場所は知らずに無賃乗車したhoboにとって地獄の一丁目でした。煙に巻かれて犠牲になった例があったとものの本に書いてあった記憶があります。


 さて、肝心の模型ですが、赤い箱の中でハトロン紙に包まれ宝石のように鎮座していました。サムソンという韓国製ですが、その会社のことは全く知りません。
 その昔、NゲージにもCabforwardが存在することをMR誌で知ったものの入手する手段がありませんでした。まさか、20年余を経て我が手に入るとは考えもしませんでした。この時には天賞堂に2台並んでいましたが、詳しい知識もなかったので状態の良い方を選びました。
箱の中には小さなナット回しが付属しています。形状を見ると、どうやらクランクピン用のようです。
ボディは真鍮製です。従って微細な表現が随所に盛り込まれているので拡大写真で見せられるとHOと見まごう出来映えです。ところがHOの真鍮モデルに見受けられるように走行性能がいけません。リバロッシ製のBIGBOYがクリアできる曲線でもこの機関車はギクシャクして停止することが多いのです。メカの問題か集電性能なのか確かめていませんが、そのうち改善しようかと考えています。当分自慢用の機関車として扱うしかなさそうです。(汗)
駆動系はマレー型共通のキャブ内モーターで前後部の動力台車をウォームギアを介して動かしています。
電子回路を組み込んで楽しむには真鍮製とあっては加工が面倒なので見合わせています。やはりこの機関車はその精細な作りを眺めて走る様を想像するためのもののようです。(2004.4.3)







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