からくり鐡道の機関庫

1982.9.22製作・45mmクライマックス(Climax)


 昭和57年(1982)に製作したアスターホビークライマックスが5,6年間眠ったままになっていました。5月の連休を利用して復活させるべくチェックしてみましたが、炭水車と結合する水圧ポンプ用のゴムパイプが硬化して脆くなっており交換の必要がありました。でも「予備パイプがどこにもみあたらん。」(汗) 
  各部のグリスアップ時にクライマックスの心臓部というべきギア部を久しぶりに開きました。20年前に作ったとは思えぬ状態であり、十数両を引いてYLSCの運転会場を長時間疾走していた割には摩耗も見られません。これなら短時間で復活させることができそうです。しかしながら、この機関車を作った頃は元気があったのですが、50歳をとうに越えてしまった現在は、修理エネルギーの充電に時間がかかってしまいます。
それはともかく極め付きの珍しいクライマックスの写真をご覧ください。

<エンジン部分を拡大。ボア10mmストローク14mmの可愛いエンジンです。>


<ひっくり返してギアカバーを取り除いた状態です。クランク軸をギアで垂直方向に変換しています。大きなベベルギアはボイラーへ注水する水圧ポンプを駆動するためのもので、その下にミニクランクで動く水圧ポンプがあります。>


<ピストン軸とセンタシャフトの接続点です。ギアの特徴が分かります。大きなベベルギアは水圧ポンプ用です。突起のある円盤はスチブンソン弁用の偏心カムです。>


 <前台車のハイポイド的歯車です。なかなか凝っています。>


<運転席です。中心の黒いのが加減弁、右端がラジコン化した弁調整レバー、5kg/cm2までの圧力計(常用圧力は3.5kg/cm2)、上部がボイラーへの水供給を調整するバイパス弁、左端に水位計、給水弁があります。加減弁の下に見えている小さなレバーはガスバーナーへの空気調整レバーです。>


<左側から見た姿です。ランボード下の円筒はロスコー式潤滑油タンクです。この中にシリンダー潤滑油を入れます。>

 前後の車輪とは、センター軸でつながっています。実は、本体の後ろに更に炭水車があってこの車両の車輪もギアで駆動されており、6軸駆動式になっています。
車輪と駆動軸には車高を抑えるため実車と同様にハイポイドギアを使っています。単なるベベルギアを使わなかったことにアスターのこだわりがあるようです。
 石炭炊きのクライマックスを製作した世界的なライブ製作者・平岡幸三さんは、ハイポイドギアまで自作して69mmゲージのクライマックスを完成されましたが、かってその過程のお話を伺うとギアの作成には孫冶具まで作って切削しなければならないとのことでした。無論、歯車に関する高度な知識とプロ並みの旋盤技術が必要だと聞き、「私にはできん」と自作を放棄してしまいました。
このような恐ろしい機関車がまさかアスターから発売されるとは思いもしませんでした。発売を一日千秋の思いで待って購入したこと、組み立てるのにかなり面倒であったこと、致命的なピストン故障を起こし大分解で修復したことなど思い出されます。
その後、ラジコン化して安楽運転機関車にしましたが、仕事のせいか次第に運転から遠のいて静態保存になってしまいました。
いい機会なのでぼちぼち復活させようと思います。
まずは、水圧ポンプ用のゴム管を探さなければなりません。
今回見直して大変貴重なからくり機関車であると再認識しました。もっと大事にしなければと反省し復活を急ぎます。併せて作りかけのライブ群もです。(2002.4.28)


<復活なる!>
 ついでですみません、本日やっと試運転にこぎつけ、ガスの力で問題なく動くことを確認しました。往年の馬力があるかどうかはにわか仕立てのテスト台の上だったので分かりません。とりあえず万歳です。JNR9600も順調に動き大変嬉しい日でした。(2002.9.29)

<クライマックスの仕様>
縮尺・軌間:1/24・45mm(1番ゲージ)   総重量:6kg
最大長:584mm                最大幅:109mm
最大高:163mm
車輪配列:クラスC(4-4-4)、直径34mmステンレス製
シリンダー:砲金製2シリンダー、ボア10mmXストローク14mm
弁装置:スチブンソン式
ボイラ形式:炉筒(センターフリュー)式、スーパーヒーター1本
  燃焼装置:内炊き式ガスバーナー   運転圧力:3.5kg/cm2
  缶水容量:180ml(80%水位)
ボイラ付属品
  安全弁2、加減弁、圧力計、水面計、給水逆止弁、缶水抜き弁、バイパス弁
燃料:ブタンガス(容量約80cc)
炭水車:水容量400ml
給水ポンプ
  手動式:ボア10mmxストローク16mm
  車軸駆動式:ボア5mmxストローク8mm
最小通過直径:2m





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