からくり日記

1996年04月26日

ポン菓子屋さん

 最近、リバイバルの兆しが出てきたようであるが、子供時代に街角でよく見かけた商売にポン菓子屋さんがある。ポン菓子を作る圧力釜とできあがったお菓子を受け止める二m程度の蒲鉾状の網などを積んだリヤカーが空き地に登場するといつの間にか子供たちが集まってきてポン菓子製造が始まっていた。
今も同じシステムのようであるが、当時は、原料の米と、薪を持ってポン菓子の小父さんに製造を依頼していたと思う。加工賃が幾らであったか定かでないが、三〇〜五〇円でなかったろうか。
  ついこの間テレビで見た製造手順によると出来上がったポン菓子にカラメルをまぶして握り拳大に固めていたが、当時は、ミツゲンというサッカリンが主成分の砂糖の代用品を水に溶いて米にまぶした後に釜に入れ火に掛けていたと思うのであるが・・・・・
 それはともかく、原料となる米を、ハンドルと圧力計のついた円筒形の釜に入れ、持ち込んだ薪の燃えている矩形の台に乗せ15分ほど回し続けるのである。小父さんがひんぱん頻繁に圧力計を覗き始めるといよいよ完成である。長い網を専用炉の前に置き、やおら鉄棒でその釜をたた叩くのである。子供達はその瞬間耳を手で塞いで次の一瞬を待つ。
「ドッカーン!!」大きな音と、白煙が辺りに立ちこめ、この煙が晴れると金網の中にはポン菓子の山である。
 ポン菓子となる原理は、炉の中の高圧下で百℃以上の温度となったお米が、瞬間的に蓋を開けたため、液体を保っていた内部の水分が急激に気体へ変化する。いわゆる水蒸気爆発が起きるのである。単純な仕組みであるが、自然の摂理を利用した巧みな菓子造りの技である。(1996.4.26)







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