からくり鐡道運転日誌
線路敷設がままならなくて機関車の調子も上がりません。運転用コロを導入していつでも簡単に試運転が出来るようにしました。この環境での運転模様を紹介します。
5/5 連休最後の子供の日、やっと自分の時間が出来たので数ヶ月ぶりに愛車に火を入れることとした。敷設していたR2の線路は家人の撤去命令により片隅に積み重ねたままである。その一方でJNR9600は慣らし運転が未終了状態であり、水や燃料の補給タイミングも掴めないでいる。この対策と将来の増車計画を勘案して運転用のコロを購入することとした。ところが、板の上に運転コロを並べて固定するだけなのに、購入後2ヶ月経過しても部品のままであった。本日思い立ってやっと運転台として作りあげたのである。 9600の動輪に合わせてコロを固定、燃料や整備道具等の運転機材を準備し終えたのが、正午過ぎである。「今日は十分な運転時間がとれないな。」と呟きながら昼食を準備した。むろん休日の炊事班長は、私であり冷凍長崎皿ウドンとした。 さて、満腹したらボイラーと燃料タンクを満タンにして火入れである。吸い込み通風機を装着して点火すること三分。圧力が2kg/cm2に上昇したので通風弁を開いて蒸気を使った通気に切り替えて安全弁の吹き出しを待った。二分程度で4kg/cm2に上がるとポップ式の安全弁は「ブォーッ」と小気味の良い音をたてて吹き上がり圧力計が瞬時に3kg/cm2に低下しぴたりと止まる。
汽笛弁を押下し頼りない発車の合図を鳴らし出発進行である。逆転機を前進位置にし、加減弁を僅かに回してドレインコックを開くと油混じりのお湯が煙突とシリンダー下部から排出されるが、まだ動こうとしてくれない。加減弁を数回開閉しながら動輪を前後するとゆっくりと動き始めた。エンジンが暖まると軽快な排気音とともに慣らし運転の開始である。今日は燃料が空になるまでの無停止運転が目標である。 最初数分は加減弁の操作で止まってしまったり、給水弁の開閉で極端に回転が変動してしまうぎこちない状況が続いた。運転コロの上での軽負荷運転と云うこともあり蒸気の量を抑えているせいで微妙な負荷変動に弱いのだと気付いたのが、運転終了間もない頃であった。 給水弁の急激な開閉が最も影響した。全開で急激に回転が落ち、そこで我慢していると再び元の回転に戻るのである。軽負荷時は負荷変動を避ける緩やかな弁操作が肝要のようである。何故元の状態に戻るかは定かではないが、水圧ポンプ負荷で回転が落ち、シリンダー内で蒸気エネルギーを取り出す余裕が生じて戻る自然の自動制御かなと考えた。 そうこうしているうちにエンジンも暖まって回転が落ち着くとあとは単純な運転が続く、排気音も軽負荷のために軽やかである。蒸気機関車らしい排気音がせず、電動かと勘違いしそうな静かさである。会社人生と同様に単調ではあるが無意識のうちに歩を進める我が身と比べていた。この状態で30分、順調に運転が続いた。意外にも頑張るJNR9600である。
重負荷、加減弁全開、フルギアというスタートを味わってみたい今日であった。 次回は、加減弁を開け気味に弁はカットオフに近づけ、蒸気エネルギーを有効に使う状態で運転してみようと考えている。 運転コロに均一に付加をかける仕掛けが必要な気もするが、合計16個のコロへの負荷装置を考えるのも一興のような気がする。(2003.5.5)
5/11 折角運転台を作ったので次の休日、前回の課題に挑戦した。今回はJNR9600の単機運転とし運転習熟に集中することとした。まあ、ここまで運転を重ねると要領も良くなり点火後5分もあれば運転可能となる。加減弁を開きつつ逆転機をカットオフ方向へ回すと次第に排気音が大きくなり「何だ坂、こんな坂」のリズムで排気音を奏で始めた。カットオフされてシリンダー内でエネルギーを消費した排気は若干湿気が増したようである。シリンダーの圧力変動が大きいせいかロスコー式潤滑装置からの油の浸出量も増したようである。ただ、中立に近いギリギリの位置で運転しようとすると左右の弁調整の誤差のためなのかエンジンの振動が激しい。少し前進位置に戻して運転を続けた。
完成当初のぎこちない運転では空釜を焚く一歩手前にしたり、動いては止まる尺取り虫だったりと自慢できない状態の連続であったものが、今日振り返ってみるとかなり上達してきたなとほくそ笑んでいる。クラシックカメラでの撮影と同様に操作勘を無くさぬように日頃の精進が肝要であると思うのである。 ドレインコックからの抜けが前後でアンバランスなので子細にチェックしてみたところシリンダーの裏側にある弁を前後に動かしている梃子状の棒に鋳物のバリが残っているようである。この部分にヤスリをかけて前後の動きを同じにする必要があることが分かった。組立を急いだことに原因がありそうである。後日ゆっくりやることとする。 燃料タンクを二度空にして本日の運転は終わった。延べ1時間程度運転したと思う。機関車の後始末は祭りの後のように寂しくもあるが、次回につながる楽しい作業でもある。私の場合は、清掃注油後、塗装用の空気圧縮機でパイプの中の水を飛ばして最後には圧縮空気で15分程度運転し、ボイラー、エンジンの中の水分が適当に排出されるのでないだろうかと思いながらの気休めをやっている。 さてさて、面白きかなライブスティーム運転である。庭一杯の線路を走り回るのが理想であるのだが現実問題としては、いた仕方のないことである。 線路が欲しい!!いや、線路は持っているから鉄道会社が欲しい!!(2003.5.11) |
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