クラカメ好きですか


二眼レフを使おう (2003.1.12)

 自戒の念を込めてこのようなタイトルを考えてみた。この一年間の中判カメラの使用頻度は、僅かな回数でしかない。ましてや二眼レフに至っては1,2回であったかも知れぬ。いずれも購入後2年近く経過したが、我が家の最近二眼レフと云えばローライコード2型かミノルタオートコードである。前者は小岩で入手したまま未整備であるが、後者のオートコードは、試写を三回ほどおこなって狂っていたピントグラス位置を調整してやっとまともなカメラにしたものである。最近、コニカノルタの合併という銀塩愛好家にとって大きなニュースが走ったばかりであるが、ミノルタ、すなわち千代田工業は、かって実に優秀な二眼レフを製造していたのである。
このカメラの特徴は、前面最下段のつまみを左右に動かして行うピント調節である。これが実に具合が良くローライとはまた違った撮影感なのである。

一方のコニカは、その昔六櫻社だったと思うのであるが、小西六と云った方が我々世代には馴染みがあるようである。サクラカラーとフジカラー両雄相争ったのであるが桜散るの感がする。(失礼)最近のコニカは、ライカMマウントのRFヘキサーが有名であるが、かってはパールという645の中判カメラを作っており、その最終型のパール5型至っては、10万円を超す高値で取引をされている事実は、その優秀性を表すものであろう。余談であるが、高級コンパクトカメラのヘキサーの写りは素晴らしいものがあり、ヘキサノン35mm/f2.8には脱帽したことがある。また、サイレントモードという静音機能の静かさにも驚いた。悪友から盗み撮りカメラと云われたので利用しないように心がけている。この様なメーカーがカメラから一歩引き下がるのは残念なことである。
 部屋飾りとなっているこのミノルタオートコードにはセレン露出計が内蔵されており、製造後40年程度経過しても指針がほぼ正しい露出を示している。レンズはテッサータイプの抜けの良いロッコールレンズ75mm/f3.5であり、安定した撮影結果を得ている。しかしながら、いつも目の前に置いているにもかかわらず持ち出すまでに至っていない。次の休みこそは・・・・・・


 これまで何種類かの二眼レフを使っての撮影結果には大変満足しているのだが、撮影に持ち出すには大げさではあるが精神を鼓舞しなければならない。実はこの文章は、沼津ぶらり旅の途中で書いているのであるが、あの大きな筐体を持ち、一歩一歩踏みしめながら撮影するというエネルギーは風邪の治りきらない今日は湧きあがらなかったのである。ひょっとしたら自分から二眼レフの撮影エネルギーが抜け落ちてしまったのではないのかと云う不安がよぎるのである。
 というわけで、これまでの二眼レフ体験記をしたためることでエネルギーの再充填を行おうという魂胆を持ったのである。

 幼少の頃は二眼レフ時代であったと思われるのであるが、残念ながらカメラに関する主な記憶がない。貧乏でカメラまで回るお金がなく、写真は写真屋に頼むべきであるという家庭環境のせいだったのかも知れない。また、住んでいる町にはカメラ屋がないという地域環境のせいもあったと思うのである。それにも増してマグネシュウムのドンが怖くて写真を避けたい子供心があったことも事実である。
 最初の二眼レフは、昭和52年、30歳の時である。場所は札幌、マミヤC220+セコール80mm/f2.8付きのレンズ交換可能な普及型である。このカメラで家族や始めて見る雪国の風景を撮り回っていた。雪祭りが終わり家族は東京へ引き上げてしまった暇な土日はもっぱら小樽へ通って運河やらノスタルジックな建物群を被写体にしていた。二眼レフは建物を撮るのに大変適したカメラであると思ったのはこの頃であった。
仕事が終わり帰京後、子育てに追われると二眼レフのことはすっかり忘れてしまった。たまに二眼レフを持ち出して子供達を気に入った写真で残せたと思うのだが、動きの早い子供を捉えるには荷の重いカメラであった。腕を鍛えぬまま一眼レフやAFコンパクトへと移行しお気楽カメラマンになってしまったのである。普通の人はこれでお終いである。私もそのはずだったのが、どう間違ったのかクラシックの世界へと足を踏み入れてしまったのである。
10年ほど前は円高のせいで海外からカメラが恐ろしく安く手に入っていた。クラカメ師匠のotomenさんを経由して最初に手にした二眼レフは、ローライフレックスTクセナー75mm/f3.5であった。今にして思えば露出計付き最終型の大変なお宝であったが、当時の小遣いでは維持できず、数年をして手放すことになってしまった。このレンズは背景が若干2線ボケ気味であることを除いて安定した鮮鋭な結果を得ることができた。残っているこのカメラのポジを見るに付け反省している。
 二眼レフの筐体はがらんどうの暗箱なのであるが、撮影レンズとピント合わせレンズの2個を持つ大変贅沢なカメラである。更に、後日知ったのであるが、マミヤのレンズに至っては、上下とも全く構造の玉なので取り替え可能であったのである。
とはいえご本尊のローライフレックスへの思いは断ち難く、数年後にローライフレックス3.5F2.8Dを手にしてしまったのである。レンズは、いずれもシュナイダークセノタール(Xenotar)75mmと80mmである。我が家では2.8Dの活躍の場が多く、成人式やら愛犬のポートレートに一時期は大活躍をしてくれた。
最近はどうしたことなのか全く使用しておらず、この文章を書きながら自戒の気持ちが次第に大きくなっている。

    <クセノタール75mm/f3.5の眺め>

 正しい2眼レフとは言い難いローライマジックI型という自動カメラを2年ほど前にひょんなことで手に入れて使ってみたが、実に良く写るのである。レンズはクセナー(Xener)75mm/f3.5である。セレン露出計を使って無理に自動化をしているカメラであるり、いったん露出計が壊れてしまうと手動が効かない恐ろしいカメラである。(II型では改善されている。)写りを考えると秀逸な初心者お薦めのお気楽カメラである。ローライマジックでは自動化の流れに乗ろうとして懸命にもがいていたローライの苦渋を知ることができるような気がした。ローライを語り始めてしまうと本体にもアクセサリーにも山ほどの逸話に満ちている。とても初心者の私が話題にできる世界ではないのでこの辺でお終いにすることとしたい。
 なお、ローライについて極めて適切な資料をクラシックカメラの師匠、早田カメララボ根本氏が作成されている。ローライから二眼レフに入りたい方やもっと詳しく二眼レフを知りたい方は是非とも一読されて同氏に相談されることをお薦めする。

 二眼レフはカメラの中でも最もプリミティブなカメラであり、写真を勉強するのに最適と思う。ピントグラスに映る画像を客観的に眺めて冷静な撮影ができるのである。一眼レフは写す画面に没入してしまうのであるが、二眼レフの場合は鑑賞者の立場で作品を切り取ることができるので意外にはっとする作品をものにできるようである。この観点から一度は是非二眼レフに取り組んでいただきたいと腕の上がらない小生から読者の皆様へお願いする次第である。(2003.1.12)







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