クラカメ好きですか


メンテナンスの効用 (2003.4.5)

 古いカメラを使っていると高い確率で不具合が生じます。それも突然生じることが多く、どのように対処するかが大問題です。10年余此の趣味を続けていると様々のことがありましたが、経験したことをもとにカメラのメンテナンスを考えました。参考にしていただければ幸いです。
トラブルが生じた場合には3つの対策があります。1.捨てる2.修理する3.買い換える
まあ、最初からゴミになるようなカメラは仕方ないにしても二度と生産されないカメラを捨てるとは言語道断であります。ゴミにならないカメラを選択できるか否かがクラカメ道に入るかどうかを決める要素でもあります。買い換えるというのは持っているカメラがゴミになる確率が高くなるのでやっぱりやめましょう。となれば、修理し使い続けて後世の愛好家に申し送らなければなりません。
では、修理と云えば自分でやる修理屋に頼むという手段がありますが、クラカメの世界に魅せられたのは自分で修理できるということからでした。他の人たちと違った角度から入門してしまったのでこれまでどのようなメンテナンスをやってきたかを紹介したいと考えて書いてみました。
 修理入門の数年は、闇雲に分解修理を試みました。修理マニュアルは存在しないので分解手順を慎重に見極めてから作業に着手し、内部のメカニズムを理解しつつ不良箇所を探ります。当然のことながら元に戻すための手がかりをイラストやネジ情報として記録しておきますが、最近はデジカメという強力なツールが出現したので大変楽になりました。
 修理対象として主にレンジファインダーカメラを骨董市で買い込んで分解・修理を試みました。そのせいで骨董市ファンになってしまいました。
入手したカメラの多くは日本製でしたが、中には外国製も混じっております。かっては耐久消費財であるカメラを素人が分解するということは考えられませんでしたが、今の世では自由自在です。今日はキヤノン、明日はヤシカ、返すねじ回しでツアイス、ライカという時期がありました。機械の中を見るとそのメーカーの思想が見えるようでした。内部まで手抜きのない丁寧なものや張りぼて看板風の一夜仕事的なものなど千差万別ですが、会社の特徴が如実に見える遊びでした。アグファのセレクト35Mのように後日の分解修理など想定もしていない複雑怪奇な構造のカメラもあり彼我の差の面白さに時間を忘れて修理に取り組みました。
 ところで、さぼり癖が付いてねじ回しを持つ回数も激減した最近ですが、メンテナンスの上達には、「数をこなす」、「まとまった時間をとる」、「先輩に聞く」でした。分解修理に手を染めての収穫は、手にしたカメラが自分の手に余るのか否かが分かるようになったことです。一念発起してプロの修理屋になる条件を早田名人に聞き、「30歳まで、独身であること。」と云われ断念したのが40歳半ばの頃でした。(汗)
 ところで、最近の修理は、バルナックライカの簡単な注油・清掃、幕速調整までにとめています。まあ、せいぜい頑張ってもハーフミラー交換までにした安楽修理業に徹しています。この原因は、身辺に修理屋さんが増えてきたことです。自分で修理した場合と比べ結果は雲泥の差ですから少々経費をかけても頼んだ方がいいやと思うようになってしまいました。その代わり、さっぱり私の腕が上達しないと云う悪循環に陥っています。
 ニコンS型狂いになった頃は既に絶好調品は入手することが困難になっていました。オークションで入手したものの何らかの不具合を持っていました。大切に保存していたことが裏目に出て機構の固着、光学系の曇り、シャッター幕の黴などです。以前M3のオーバーホールを依頼した早田名人の六号ロボット弟子殿にこれらのものをすべてお願いしたところ新品同様に機能が甦りました。なんと蒸着釜の導入間もなかったのでコーティングまで再生してくれたのです。
 昨年暮れにカメラの師匠であるotomenさんがハヤタ・カメララボという修理会社を立ち上げました。ホントのコンセプトは修理というか、職人技を組織的なビジネスにすると云う新しい観点での船出です。早速、酔考さんとお祝いに駆けつけ、ついでに会員にエントリしたところ番号は2番です。酔考さんにも強制入会していただき栄えある3番が彼の背番号に付くことになりました。会員になった特典として早川通信20号を先日受領しました。これはotomenさんら早田カメラ応援団の執筆による早川通信を合本化したもので、春の中古カメラ市の特別商品として早田カメラから\1,000で販売されました。二度と手に入らないクラカメについての貴重な本で2-3千円で買っても良いと思う内容です。もちろん期間中に完売したそうです。
 さて、会員になったからには修理を、ということでシャッターの渋いローライフレックス3.5Fを選びました。5,6年前に入手したクセノタール75mm/f3.5付きの外観の綺麗なものですが、シャッターが重く長い間眠らせておりました。otomenさんからは外観は綺麗でも中身はさっぱりのフレックスばかりで、現に今修理しているものがそうだと脅されましたが、3週間後に戻ってきたのは完全に復調したカメラでした。しかも早田名人より「内部の程度も良かった」という嬉しいお言葉がありました。日頃毒舌を吐いている人のほめ言葉なので思わず笑みがこぼれました。

<戻ってきたローライフレックス、嬉しいです。>
 安く買っても結局修理をするのであればお宝にすべきものはきちんと整備されたものを信頼できるお店で買うのが一番賢いと思います。しかしながらカメラ屋は様々です。ましてや修理屋の姿は一般には目を触れることは少ないようです。その意味から両方を兼ねている名人の店に出入りしていた僥倖を感じるこの頃であります。本人生存の限りの永久保証というのも嬉しいことです。飲み過ぎないで長生きして下さいね。(笑)
さて、皆様方はどの様なメンテナンス体制を整えておられますか?(2003.4.5)







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