ライブスティーム雑記帳

本物志向の話(2003.10.12)


 このテーマを選んだもののさて弱りました。様々な分野での本物論がありますが、一言一家の世界かも知れません。ここでは鉄道模型について限定し、私の経験に閉じて云わせてもらいます。鉄道模型というと反射的に天賞堂の蒸気機関車真鍮モデルを想像される方はそれなりのベテランかも知れません。が、そこから意見が分かれると思います。本物と寸分違わぬ構造と装飾を備え、全体のバランスを保っているということでは工芸品というか芸術品です。ところが蒸気では動かないのです。上辺を飾っていても中身は電気からくりなのが気に入りません。電気機関車であってもパンタグラフから集電しているのは僅かです。ましてや2本の線路から電気を供給されて動くのは邪道です。
 ここまで書けばおわかりのように外見はそれらしく見えても中身が全く違うものは偽物と鑑定したくなります。仕事上でも羊頭狗肉の類の人物が多いのには唖然とさせられますが、現代日本の風潮でありましょう。外見と中身の一致に向けて日々の精進を積み重ねていきたいものです。(笑)
ライブスティームにも様々なものがあって某骨董店で拾ってきた船舶用ボイラーを搭載したライブもどきもあります。足周りは真面目なB型二気筒ワルシャート弁蒸気エンジンです。火と水で動くので真剣味ではSLには違いがないのですが、稚拙な工作に涙します。とはいえ私には作る技術は持ち合わせていません。
 アスターの新作C622ニセコ型が到着したものの雑用に追われて進捗しません。たまに図面を眺めて次の着手日を待ち望んでいます。この機関車の目玉は、木炭・ガス焚き兼用のロコボイラーと新型ドレイン弁ではないでしょうか。特に後者は実物や、従来の模型手法を踏むのでなく模型用として新たに設計されたもののようです。回転する摺り合わせ面からの蒸機漏れがどの位あるのか未知数ですが、押さえのバネの強さ次第では低圧のエンジンには動作確実の機構かも知れません。アスターの玉田氏が胸を張る理由が分かりました。
この様に実際のモノに合わせて巧妙に設計し、実物の動作に近づけてあるのは本物への飽く無き追求心のように感じました。テーマから脱線したなと思いつつも新着ライブの仕掛けに感じ入ったのでご紹介しました。
 今まで持っていたライブスティームは、アルコール焚き、ガス焚きでした。その昔購入したロードローラや消防自動車は固形燃料を焚きます。ということは私の持っているものも本物とはほど遠いまがい物のようです。かろうじて今回のC622で本物に近づいたのですが、厳密に細部を見るとまがい物だらけです。模型における本物論をと思っては見たもののどのように似せて作ってもコピーはコピーあまり他人様を非難することはここらで止めることにいたします。振り上げた拳骨の行き場がなくなって失礼いたしました。(汗)(2003.10.12)







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