ライブスティーム雑記帳

シェイの作り方(2004.8.10)


 論理的にも物理的にも自分にできることではないと思っているのがライブスティーム作成です。云うこととなすことが全く逆ではないかとご指摘は承知の上ですが、私にできることは人様が設計をし、キットとして部品をまとめ上げられたものを組み立てるのが精一杯です。これでライブスティームをやっているなんて云うべきでないとお小言を頂戴しそうです。
 ところが世の中には凄い方がいるもので今回ご紹介するのは、つい最近機芸出版社から出された平岡幸三さんの「ライブスティームのシェイを作ろう」です。20数年前にお会いして以来、お目にかかっておりませんが、当時は日本小型模型鉄道クラブ(JMRC)の会合で月一回お話を聞く機会がありました。私のライブ趣味がアスターのシェイから出発したのも昭和50年頃、NHK出版の「趣味の鉄道」に紹介されていた平岡さん自作のシェイ用クランクシャフトがきっかけでした。三気筒エンジンのクランクシャフトを一本のステンレス棒から削りだすという現代の匠の腕に驚愕しました。昭和52年、札幌にいたころにアスターのシェイを入手したのはらくり鉄道の機関車達の通りです。
帰京後、シェイとは何か、ライブとは何かを知りたくてJMRCに入会し、交通博物館で開かれる月一回の例会に出席することにしました。 この会では様々なことを学ぶことができたものの、子育て真っ盛り、薄給の身ではライブ作成に工具を含めて投資するのは困難でぐずぐずしているうちに今日に至ってしまいました。
しかしながら、この会合では平岡さん初めメンバーの皆さんから色々教えていただきました。細々とライブ趣味を楽しめるのもその頃の聞きかじり知識のおかげだと思っています。平岡さんからは設計の真髄というべきことをお聞きし、自分の仕事に充分役立てることができました。その反面趣味にはフィードバックできず惜しいことをしたと反省しています。
平岡さんにオークションで降りてもらって入手した米国版SHAYの作り方3年分のLivesteamのファイルは、伊豆方面の先輩へお輿入れしたいきさつは、この雑記パインさんの遺品の項で書いたとおりです。
 さて、この平岡さんが新たに図面を起こし、シェイの作り方を十二分に開陳していただいたのが今回の著書です。私がもはやゼロからの製造に取り組むことは万が一もないと思いますが、読み物として大変手応えのある内容です。八千円という価格でもちっとも惜しいとは思いませんでした。むしろ日本のライブ界の実力を世界に冠たるものにしていただいたお礼を差し上げたいくらいです。さしずめ工芸における文化功労賞で報いていただけないかと思っています。
ライブを作ろうと思う方だけでなく、ライブに興味を持つ方や金属加工の基本技術とは何だろうと思う方にも是非手に取って読んでいただきたい本です。工業イラストはかくあるべしと思います。眺めているだけでも心弾む書籍です。座右の書にお薦め致します。(2004.8.10)







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