| 既に時間が経過して記憶が曖昧になりつつあるのでどこまで精査にレポートできるかちょっと自信がないものの滅多にない経験なのでここに記述することとした。 地元の商店街に餅つき大会とフリーマーケット(fleamarcket)があると聞いて「からくり堂」のこともあったので出店してみることにし、その品物は、商店街恒例の不要物マーケットと区分するために意識して「からくり玩具」の類で固めた。 1/26(日)の13時から16時迄の短時間開店であるものの、お小遣いに困っているわけでもない(?)ので売りたくないものや売れないと思うものは初手から高値や売約済みとさせてもらった。(汗)
<サンプル商品を並べたお店>
さて、冒頭で結論を述べてしまうのであるが、世田谷の住宅地、さぞや「からくり民度」は高いに違いないと大いに期待して始めたお店であったのであるが、結果は惨憺たるものとなってしまった。(汗) まず感じたのは、地元の催しなのに子供の姿が少ない、私の子供時代だったらこの手の催しは近隣の子供達であふれていたものである。科学少年の情操教育としての場は早速放棄してしまった。 主力商品でもないが並べたカメラに興味を持つ人は年輩者2,3名、ただし真からのファンではなさそうである。絶好調のローライ35Bと昭和10年頃のXenon 50mm/f2付きの35mm蛇腹カメラウェルタ・ウェルチニを客寄せにして反応を見たが、もはや世界はデジカメに向かっており時代遅れのカード型デジカメへの反応が高かった。来訪者の中でカメラについて自分の思いの丈を語ってくれたのは意外にも60歳半ばくらいの小母さんであった。 「こんなカメラを使っていたわよ。懐かしいなぁー、でも今はキヤノンの一眼レフよ。」 ということを喋ってくれたがご購入する気はとんとなさそうである。カメラを見てタイムマシーンに乗ってしまわれたようである。(笑)これも地元貢献だと思い勝手に納得した。 ソ連製のゴルゴ13もどきカメラ、フォトスナイパーという300mm望遠レンズに銃床付きカメラはその姿に恐れをなして手を触れる人もなかった。 自転車に乗った通りすがりの小父さんは、携帯液晶TVに興味を持って即購入、あまりの安さについでにラジコン東急バス\980もお買い上げになった。5段変速自転車のおじさんは、薄汚れたフジ防滴カメラを\800だったかで買った後また戻ってRollei35Bをいかにも欲しそうに眺めておられたものの結局売約には至らなかった。店を手伝っていた伜曰く「全く売る気がないんだから。」 「確かにそうだ、でもからくり民度を見るためだから商品への熱意のない人ばかりだと全く商売っ気がなくなるんだ。」と云いたかったのであるが黙ってしまった。(汗) 馬車で引く蒸気消防車のレプリカを「これは素晴らしい安すぎるわ。」といってお買いあげになったのは団塊世代の小母さんであった。からくり理解力充分、しかしながら小父さんパワーを感じさせない商店街である。 お客はなかなか出現しないもののギャラリーとして知人が登場してくれた。俗に言うサクラ、ではないのであるが、からくり民度の高い方々で、ゼンマイからくりやからくり工具をお買いあげ、ついでにお店の手伝いや商品の持ち込みまでしていただいた。感謝感謝(笑)でもお互いに品物のキャッチボールをしているようで変な気分である。 退職後に備えて5,6年前に購入していたもののすっかり忘れ去っていた当時数千円した欧州製のペーパクラフト本を発見し店頭に並べたが、結局売れ残り嬉しかった。あ、この本を切り抜いて組み立てると大きな振り子時計に変貌するという珍しいものである。これもやっぱり売る気がないので売れなかったのだろうか? そういえば、インターネット経由で採集したペーパクラフトを厚手の用紙に印刷し、サービスとして準備していたのであるが、これにも興味を示す人はいなかった。何か買ってくれた小母さんに簡単なものを押しつけたのであるが、うまく作ってくれただろうかと今でも気になっている。(笑) 今回の出店では、値付けを格安にすればある程度売れたと思えるのであるが、それでは意味がない。まず品物に興味を持ってもらい、からくりの認知度を上げるのがこの店の目的である。大きくて奇妙な参考出品の蒸気消防車へ質問があれば嬉しいと思ったが、ボイラーや蒸気エンジンがむき出しの複雑な姿に恐れをなしたのか遠巻きにして眺めるのみである。どうやら現代人は流線型(古い!)という突起物のないのっぺりとしたものに安心するようである。世の中は綺麗事のみであると思いがちな最近の風潮がものの仕掛けすなわちからくりを知ろうとする心を疎外しているのかも知れない。 原始的な熱動力の動作原理を学ぶのに最適なポンポン船には手を触れる人もなかった。しかも珍品のタイタニックだったのにである。タグボートとセットで\1Kという驚異的値段なのに、トホホホである。 参考にと思って学研の大人の科学・ポンポン船特集をそばに並べていてもこの通りである。小学生の手を引いた父親ならばきっとポンポン船を手にその原理を説明してくれるかと思ったのが大間違いであり、理科の力が落ちている近年の風潮はむべなるかなである。 何とまあ、店を手伝った倅もこの原理を知らず、学研の本を「なるほど」と読んでいたのは灯台もと暗しの見本のようでちょっとショックであった。
本来ならば、楽しいことを書くサイトなのであるが臨時「からくり堂」の思わぬ現実に今後の「からくり日本」のことを考えると暗くなってしまい後ろ向きのことを書いてしまった。(笑)これでまたやることが増えて力が入りそうである。(2004.2.15) |
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