クラカメ好きですか


雨降りボロ市とカメラ (2005.1.21)

 久しぶりの世田谷ボロ市出撃であるが、みぞれともつかぬ冷たい雨が昨夜来続いている。こんな日にこそ収穫があろうと治りかけた風邪をものともせず午前8:30に経堂駅へ集まった。というのは佐賀県TICのセンター長ご夫妻を現地にご案内するのである。いわゆる東京における客寄せイベントのご視察ご案内である。(笑)
酔考さんも合流予定であったが、前夜の不摂生とかで見事に遅刻とのこと、現地集合となった。
世田谷ボロ市紀行を長々と書くサイトではないのであるが、あの寒い日にボロ市になぜ出かけたか、その言い訳は以上の通りである。
晴天の休日であれば歩けないほどの人で埋まるボロ市通りを知っている者にとっては拍子抜けする人であるが、イベントとしてはまずまずの混み具合である。歯が抜けたようにいつもの店が出ていないのはちょっと寂しい感がある。しかしながら、お店が休むのも当然である。というのも東京地方はこの週末大雪と云う予想が出ており7,8年前のボロ市が大雪のため30分で終了したという故事を知っているものにとっては休む幸せを選択したのももっともなことである。私もその現場に居合わせたので気持ちはよく分かる。(汗)
幸い雪にはならず2日間のボロ市が終わったので関係者はほっと胸をなで下ろしたしたことだろう。人出はきっと四割減だったかもしれない。
ところで、ご夫妻ご案内の道すがら独逸コダック・レチナ2型を遠望していた。もうカメラは要らぬと思っていたので無視することにしたが、何故か気になってしかたがない。一回り後残っていたら考えることにした。いつもの名物、塩田カメラ店も雨のためかお休みのようである。私には寒さと整備不良のせいなのか雨空に撮影を実行するために久しぶりに持ち出したニコンカリブのフィルム送りが怪しくて撮るのを断念した。折角の防水カメラであったが残念至極である。従って珍しく写真記録のないボロ市探訪となってしまった。
 一回りしても件のカメラが残っていた。手に取ってみるとエクター50mm/f3.5付きの珍品で値段は12,000円という以前に比べると超格安である。特にこのコダックのエクターレンズは我々仲間内で珍重されているものである。その昔、コダックのシグネット35というアメリカ製のカメラに同じレンズがついており、それで撮った紫陽花の花の瑞々しさに驚いたことがある。距離計を含め自分で納得できるまで整備したのであるが、大味なアメリカ製カメラに嫌気がさしたので処分してしまった。この個体を入手した人はきっと喜んでいることだろう。

   <レチナ2型のレンズに、にっこりです。>

そんなことを思いながらボロ市に並んだレチナを眺めていたのであるが、今回は買い物をしないぞと出撃してきたものだから決心が付かない。背中の一押しがないのである。手を引っ込めてもう一巡することとした。「縁があればまた会おう。」である。(汗)
そのうち酔考さんも合流し賑やかなツワーとなった。仲間のなかでは「学芸員」と呼ばれている博識の酔考さんの参加で楽しいボロ市探訪の始まりである。寒さも雨も何のそのの勢いであるのだが、寒いとトイレが近くなる。それにエネルギーも消費してガソリン補給も必要になる。ということでいつものガスステーション焼き鳥処「こやま」にピットインすることになった。
この店は、年2回のボロ市の時にしか行かぬお店であるが、焼き鳥とお酒がとても美味しいのである。この期間だけは樽酒を開けてのコップ酒がある。それにずいぶん年輩のお母さんの雰囲気がいい。この十年は通っていると思う。セットの焼き鳥と樽酒二杯、ちょっと足りずに築根を注文・・・・・・
され、燃料を補給した我々はすっかり元気を取り戻しもう一度会場を周回した。
「あった、あった。まだあったよ。」と思わず声を出しそうになったが、ぐっと堪えた。例のカメラはまだ鎮座していた。雨降りしぶく寒さの中では懐手の人たちはなかなか手を出そうとしないようである。
これならば一万円を切って買うぞと云う強い信念がその時の私にはあり、
「9,800円でどう?」、「いいですよ」というあっさりとした交渉成立で、もっと安く言っても良かったのかなという思いがよぎったものの、これは安いという気持ちにはかなわずに交渉は成立した。なんだか子細にチェックせずに手にしたカメラであるが、プリミティブなものなのでいざとなれば全分解であるという気持ちである。ちょっと動きが不安定なのであるが、この手の市ではよくあることである。久しぶりに手にしたレチナ、このタイプは初めてだと思う。
我が家に残るレチナローデンシュトックイザール5cm/f3.5付きの距離計もない最もプリミティブな1型のみである。クラカメでは必須アイテムのレチナがないのはコレクターでない証拠である。とほくそ笑んでいる。(汗)

    <だいぶ前のイザール 5cm/f3.5 の作例>

さてさて、レンズが汚れているがまさかコーティングがおかしいのではないだろう。まあいいかと後日エチルアルコールで拭いてみたところ汚れであった。この清掃でレンズは新品同様(?)となったのである。拭き傷も見あたらずまずまずの状態であった。 シャッターも何度か切るうちに次第にスムーズになってきた。これならば程々の掃除でまともになるだろう。汚いファインダーは、いずれ分解掃除だなと考えている。\10Kを切る価格で稀代の名機を手にするとは幸運だったのかあるいは寝た子を起こす行為で拙かったのかちょっと考えさせられる出来事であった。
早く掃除して使ってみたいと思っている。

 これまでボロ市では考えてもみなかったものが手に入っている。思えば、ガツガツしなかったときほど収穫は大きいようである。(笑) ツェルトスーパードリナフジカHD1ZEISS軍用双眼鏡、数多のレンズなどの高級品ではないが楽しませてくれるものが多い。こんな調子であるからこれからもボロ市・は通い続けるであろう。
そうそう、前回、今回ともには適当なものが見つからず、「またもや次回か」と諦めていた根付けであったが、最終場面で面白いものを見つけたので入手した。蛙と蝸牛の接吻ともいうのかちょっとユニークなものでる。もちろん正当な本物ではないのであるが木を彫った手仕事には違いがない。雨のおかげで\1.8kまで値切ることができてまず満足である。ちょっと渋いが兎の根付けも目に入ったので娘へのプレゼントとした。

  <大振りですが、面白い根付け>

 ボロ市ツワーも終わりである。経堂駅でセンター長さんご夫妻とお別れしたが、勢いの付いた我々はもう少し地元探訪をやることにして近くの西洋骨董店に立ち寄った。ここではちょっとオタクな独逸製のゼンマイ駆動レーシングカーキットが見つかった。これはなかなか面白い。部品を並べてディスプレーするドイツの玩具によくあるきっとである。工具やピットイン時に車を持ち上げる装置まで付属している。ところが、組み立ててしまうと恐らく価値半減するであろうため組立はいけないのではないかと手が止まっている。

 何のことはない今日は何も買わないつもりでリュックすら持っていかなかったのであるが、結局レチナ2型レーシングカーキットを両手のビニール袋にぶら下げて帰ることになった。これだから面白きかなボロ市である。反省も込めて次回も元気で出撃したいものである。(2005.1.21)







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