| 5月末の週末は目の不調、親戚の法事、家人の不在などが重なって世間の出来事などすっかり忘れてしまっていた。ところが、恒例の中古カメラ市は私の事情などにお構いなく開催されていたのである。 ところはいずこ、渋谷東横店である。 知人に云われてはっとして会社の帰りに立ち寄った。実は毎日通っている通路に会場行きのエレベーターがあるのだ。 会場は最終日間近ともあってのんびりしている。目的地は浅草じゃない、早田カメラ店である。毎回ご機嫌伺いに行かなければどーも具合が悪い。この症状がまだ残っているというのは保菌者なのである。 早田さんと世間話をしつつウインドを眺めやるとまだまだ面白いものが並んでいる。 今回は何故か珍品が売れてノーマルなものが残ったとか。いやいやまだまだ珍品が残っているようで、早田さんのお店は変なものが多いのであるが、品物だけではなく店主やお弟子さん含めて珍品揃いであるのは知る人ぞ知る事実である。(失敬・笑)
白いカメラが一台こちらを見ている。 アドボケイトという英国イルフォード社のカメラである。エナメル塗装のような白いボディがお洒落であり、1947年という戦後間もない時期にこのようなデザインを採用するとはさすがに大英帝国である。
レンズは有名なダルメイヤー35mm/f3.5であり、この時代には貴重な?広角レンズを持つカメラなのである。
その昔。オリンパスワイドなるカメラが発売されたのであるが、そのネーミングに従えば、アドボケイト・ワイドと言っていいカメラなのである。 仕掛けは大変プリミティブでありフィルム巻き上げでシャッターをチャージする仕掛けを持っていることに感動するぐらいである。 前玉枠を回すとそれが絞り環、ついで距離計、シャッターがそれぞれ独立して並んでいる。ファインダーも単純な透視型である。 どういう心境なのか自分でも定かでないが、今回はこのカメラを手にしてしまった。おまけとしてしっかりした革ケースが付いているので何だか得した気分でお買いあげ、勿論プラスチックマネーである。(汗) このカメラで撮った画が作品になっていたと思う。航空機系の作品で著名な柴田三男さんは、隠れたクラカメ人であり早田カメラのPTAとも聞いている。その方がアドボケイトを使って素晴らしい写真を発表されていたはずである。 その僅かに残る記憶が今回背中を押してくれたようである。「凄い写りなんだから、このレンズは。」と早田さん駄目押しキャッチコピーに更に背中を押され、これでは買わない方がどうかしているというのが目が眩んだことの次第である。早田カメラの永久保証も付いているのでこれでいいのだと自分で納得してしまった。とりあえず現在試写中である。 → 結果は下記の通り
<曇天でしたけど写してみました。古めかしいけどシャープな写りです。>
殆ど音のしないシャッター、飾りものの無いファインダー、たおやかな白いボディとくれば、ご婦人方がが観劇に持ち込む貴婦人カメラではないか。独逸コンタックスのコンテッサよりも数段上の淑女のような気がした。さて皆様方はどの様にお考えであろうか。
まだまだうろつきたい会場であったが、目の調子が今一つなので早田カメラ以外はパス。エレベーターに乗ろうとして部品屋が目に付き、とうとう欲しかった禁断のアダプターを手にしてしまった。 曰く、ビゾ・ニコンアダプターである。この説明は難しいので知る人ぞ知る迷品として別の機会のネタにすることでご勘弁いただきたい。(汗)(2005.6.4) |
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