
からくり鐡道の機関庫
2005.6.26製作 Duchess of Southerland |
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Duchess of Southerland
我が鉄道に英国の機関車が入線することが起きたのは自分の好みから考えて不思議なことである。2年前に英国のJUMBOをひょんなことから組み立てて、その性能の良さから英国型を見直した。JUMBOで「おやっ」と思ったことが、この機関車が来ることになったきっかけである。一世代前に発売されていたフライングスコッマンA3は、C622と発売時期が微妙に重なっていたことから敬遠してしまったが、英国の多気筒機関車のからくりに注目してしまっていた。A3では3気筒グレスリー弁機構を本物と同様に実現したと聞いて感心たのである。
 <試運転時のセットアップ 前輪下は見ないでください。>
さて、Duchessであるが、ご覧のように臙脂色の引き締まった車体からその性能の良さが伝わってくるのではないだろうか。一見すると日本の機関車の色違いかと思うスタイルであるが子細を見ると全く異なるものである。車両限界一杯の車体は流線型を思わせるものであるし、僅かに傾斜したシリンダーはいかにも早そうな予感をもたらしてくれる。汽笛はボイラー火室の上で水平に寝ているというぎりぎりの設計である。日本ではC62の汽笛が蒸気ドームの横に斜めに取り付けられていることで話題になったことがあるようだがDuchessほど徹底しなかったようである。

一番異なっているのはエンジンである。外見は優美な二気筒機関車であるが、フレーム内に二気筒を持っている。外部の気筒と同サイズなので機関車の出力は通常の2倍、見かけによらぬ力である。米国と異なるコンパクトサイズの英国鉄道では、長編成の列車を牽引するために機関車はマレーではなく多気筒にならざるを得なかったようである。 アスターの製品はエンジンを実物に近く再現しており、内部シリンダーの出力は第一動輪の内側クランクに、外部シリンダー出力は第二動輪に伝達されている。
 <内部エンジンの駆動系>
本物と違うのは、弁がピストン弁でなく模型に適したスライド弁であることである。従って前進後進で加減リンクの傾きが逆になっている。 そういえば、この機関車では弁の姿を補正するためのクロスポートを持っていなかった。コスト削減のためだろうか、それとも限界一杯の設計上の問題のせいだろうか。
エンジンの出力が大きくても車輪の食いつきが悪くてスリップしては何にもならないのでDuchessでは鉄にニッケルメッキと焼き付け塗装で防錆処理をした動輪を使用して摩擦係数を上げているとのことである。動輪は、C622より気持ち大きめで各軸独立懸架であった。イコライザや板バネまで組み立てたC622よりちょっと物足りないが、9600の実績から考えると模型では十分実用的な懸架方式である。

懸架からの余談であるが、欧州ライブの権威・神田氏によると、欧米の機関車は、線路の耐重量が大きいので車体重量が動輪に目一杯掛かるように設計をされている。従って発車時に加減弁を全開しても空転の恐れは少ないとのことである。我が国鉄では線路が脆弱なこともあって軸重を幹線、亜幹線、ローカル線用ときめ細かに設計してあるので、加減弁を全開でもしようものなら豪快な空転を引き起こしてしまうのである。このような線路環境を運転しなければならなかった国鉄の蒸気機関士には加減弁と弁調整の微妙な制御の出来る技量が要求されることとなり、生半可な腕では勤まらなかったとのことである。現代の機関士の技量低下が福知山線の大惨事を招いたことを思えば、訓練ではまず梅小路に送り込んで蒸気機関車さばきを学ばせると電車運転のスキルが格段に上がると思うのであるが、いかがなものだろうか。難しい運転をさせることで運転の適正が直ちに分かることであろう。蒸気機関車運転と同じ気配りの出来る機関士は直ちに教官免状を発行して後進指導に当たらせ不適格者を篩にかけさせるのである。件の事故を思うとついつい内田翁の口調になってしまう。
ついでであるが、機関車の軸重は前従輪、後従輪に分散することで調整されているのであるが、アスターのC622では国鉄型と云うこともあり何と国鉄の規格を忠実に守っているのである。その結果、第三動輪への荷重が軽く、長編成列車ではスリップを起こしやすいことが判明した。後従輪の軸バネを軽くすることで軸重配分を変更し強力化しなければいけないことを思い出した。
 <二組の排気管と通風管>
 <その上の煙突はダブルです。>
 <いい加減な運転室写真ご容赦を>
さて、Duchess運転室の構成は大変オーソドックである。中央の加減弁は若干長すぎることもあり不安定な気がする。先端が針状でなく楕円を描いていたので僅かに開いても蒸気流量が多くなり回転が高い理由なのであろうか。水位計の下に付いたブローダウンバルブは実用的である。ただし、側面から操作できるC622のものがより使い易い。あと、通風弁が運転中は大変熱くなる。効率のよいC型ボイラーであるが、短所はバーナーの熱が操作盤の裏にもろに当たるのでこの部分の温度が他の機関車よりも相当に高くなるようである。一般的には素手で回せる通風弁なのであるが、Duchessではヤットコで扱うことになった。 焚き口は、二重構造で機関車らしい雰囲気であり、長めのライターを差し込んで着火できるので実用度も高い。JUMBOも同形式ならば操作性もよかったのにと無い物ねだりをしてしまった。
線路デビューがまだというのに自分の機関車の性能を云々するのも気恥ずかしいのであるが、種々の運転会でのDuchessの噂や目撃情報は、その実力に驚いたということである。一番の特徴はドラフト音が大きさである。マレー型は別として他の機関車を圧倒する力強さである。これにかうなものはGゲージの電子音だろう。(笑) ベンチマーク運転では常に安全弁を噴き続けるボイラーの良さである。蒸気消費量の多い通常の運転ではまた違うかも知れないが、試験台での運転中、連続して安全弁が作動する機関車はまれである。この強力なボイラーならばスリップしなければかなり長大な編成が組めるかも知れない。 「あ、客車がない!」というお粗末な鉄道会社であることを忘れていた。(汗)
牽引力については、からくり雑記帳のライブスティームの力を参照していただきたいのであるが、連結器出力として1.1kgを算出しているので1両1kgの客車ならば20倍して22両は引けそうである。捕らぬ狸の皮算用であるがこのところ家事煩雑で運転会は8月までお預けをくらっているのが恨めしい。(2005.7.10)
アスターDuchessの仕様は次の通りである。(アスターHPより引用) --------------------- SPECIFICATIONS OF The Princess Coronation Class Duchess SCALE/GAUGE 1/32 , GAUGE ONE (45mm) TOTAL WEIGHT 6.2 kg (Engine 4.64 kg + Tender 1.56 kg) DIMENSIONS LENGTH O.B. 711 mm WIDTH 91 mm HEIGHT 129 mm WHEEL ARRANGEMENT 4 - 6 - 2 PACIFIC DRIVING WHEELS DIA. 64.0 mm PILOT TRUCK WHEELS DIA. 26.0 mm TRAILER TRUCK WHEEL DIA. 38.0 mm MINIMUM RADIUS 2 METER ENGINE CYLINDERS 4 CYLINDERS WITH SLIDE VALVE BORE 11 mm x STROKE 22 mm VALVE GEAR WALSCHAERTS VALVE GEAR VALVE TRAVEL 6mm CUT-OFF 75%
BOILER TYPE "C" TYPE WITH TWO FLUE TUBES WATER 250 CC AT 70% FULL PRESSURE 3-4 KG./SQ.CM AT NORMAL WORKING
FITTINGS 2 x SAFETY VALVES, GAUGE GLASS, PRESSURE GAUGE, BLOWER VALVE, REGULATOR VALVE, CHECK VALVE, FILLER PLUG AND SUPERHEATER
AXLE DRIVEN PUMP BORE 5mm×STROKE 5mm LUBRICATOR ROSCOE DISPLACEMENT TYPE TENDER :WATER TANK CAPACITY 250 cc, HAND PUMP MOUNTED. ALCOHOL TANK CAPACITY 200 cc FUEL METHYLATED ALCOHOL
TENDER BOGIE WHEELS DIA. 40.5mm |
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