からくり鐡道運転日誌

2/20北裏鉄道臨時運転会(YLSC交流会)


 昨夜の雨は午前9時頃まで残っていたが、今日の運転会はYLSC(横浜ライブスティーム倶楽部)との交流会なので何が何でも出席したい。東京アメッシュで雨雲が局所的であることを確認して家を出た。予想通り到着する頃は雨も上がり適度な湿気と寒さで格好の運転条件になっていた。
朝の雨で遅れていた会場設営を一気に片づけて早速運転準備に入った。
一番手の神田さんは、雨の中で準備した独逸型DB01?を快調に走らせている。私は、前回のガス釜の不調に懲りてアルコール炊きを準備してきた。燃焼がよくなかったのでバーナー芯を新型に入れ替えて万全を期したJNR9600、加減弁の修理を終えたLNWR・JUMBOである。走行前の準備として足周りにグリスアップする。この作業は運転後という方もあるかもしれないが、運転後は他の機関車の鑑賞や撮影に忙しくて時間がない。せいぜい給油器の潤滑油交換、ボイラーの水抜き、外装の清掃が精一杯である。それでも帰宅後は必ずコンプレッサでの運転、ボイラーやテンダーを丹念に水抜きすることにしている。
 運転前の楽しみは、意外に事前チェックをかねての注油なのである。足周りのグリスにはやや乾燥気味のモリブデングリスを常用しているので埃の付着もまあこれなら良いだろう。この北裏鉄道の路面は、高架で手入れも行き届いているため汚れも少なく大変感謝している。
 この2両を完成して早や二年半経過した。軸箱の磨耗やピンの緩みはなさそうなのは幸いであるが、接着剤を使用した小さな部品が外れやすくなってきたので総点検が必要である。運転後の清掃でロストワックスの微少な部品が外れたので慌ててしまった。
 さて、テンダーを連結し、燃料パイプ、給水系パイプをそれぞれの管とつなぐ。手押しポンプでボイラーにヨイショ、ヨイショと注水する。この瞬間がマニアいや私にとって一番嬉しい時なのである。「さて今日はどのように走ってくれるのか。落ちはなかったかな。」などとちょっと無心には遠い想像の世界に遊んでいるのである。まあ、ここで慌てると大抵ろくなことがない。焦るからトラブルが起きるのである。拙い結果はこの時間での自省不足である。今回はのんびり過ぎるくらい時間がかかってしまった。が、落ち着きと云うより単にとろくなっただけのようであるが、まあ置いておくとする。
 JNR9600の新しいバーナー芯を点火後炊き口からみると淡いピンク色の炎がよく上がっている。間もなく1kg/cm2まで圧力が上がったのでりブロワーに切り替えた。ドレイン弁を開いて加減弁を少々回してシリンダーを暖めたが、C622と比べドレイン操作が微妙である。ドレインレバーの位置が定まらない。恐らくリンクの遊びが大き過ぎるのであろう。熱水が出るには出るのであるが、出し残した小便という感触である。強く引くと前輪に当たってしまうことを経験している。気持ち控えめという指先の微妙な操作が必要である。C622の機構は本物とは異なるのであるが、その確実性には脱帽している。実物と模型のあり方を考えるのには素晴らしい材料である。

       <粛々と白煙を上げて走る9600>

 単機で運転を始めたのであるが、軽負荷にもかかわらず低い外気温と雨上がりの湿度のおかげて白煙をたなびかせて気持ちよく周回する。弁をカットオフしていくとドラフト音も明瞭になる。これならば貨車を牽引させると蒸気機関車らしく走ってくれることであろう。ズビさんから「どれくらい走る?」と聞かれているのをやっと理解し「30分程度」と当てずっぽうに答えた。幸いにも20分以上は走っており、線路が混み始めてきたので燃料を少々残して運転を打ち切った。
前回は、運転時の圧力が2kg/cm2をなかなか越えてくれなかったのであるが、安全弁を吹きながら走るので燃焼問題は明らかに改善されていた。推測の通りバーナーの燃え方の問題だったようだ。アルコール炊き不調は、機構的な問題がない場合は芯の交換で改善される場合が多いので愛車の不調に首を傾げておられる向きは是非取り組んではいかがであろうか。

 JUMBOは水量にだけ注意していれば大変運転しやすい機関車である。スリップエキセントリック式なので弁調整の必要がない。走らせたい方向へ押して、加減弁とチェックバルブの開閉に気を付ければいいのである。この軸動ポンプは蒸気の消費量を上回って給水するのでボイラーから水が溢れてしまう。テンダーへポトポトと水が戻る程度に調整した方がいい。この技は走行中しかできないのでなかなか熟練を要する技である。

     <第一動輪を支点に振動しているのが分かります。>


     <見かけよりも大変逞しい機関車で、いつも安定走行です。>

模型機関車のために考案されたC型ボイラーの燃焼は大変好調である。火を入れるとキューッと云うような音を立てて燃えてくれる。バーナーの火がC型に曲がってボイラーの端面から煙管に吸い込まれているから音が出るのだろう。この機関車のバーナー芯は二本であるにも関わらず圧力上昇も早いように思う。こちらの芯はまだ旧式のままであるが、好調なのでしばらくはこのまま使うこととする。英国型の難点は、牽引する車両が少ないことである。今回も単機運転となってしまったが、貨車を引かせるのも気になってしまう。この先英国型を増備することがあるとしたら、悩みが続きそうである。(笑)

 いつもより参加者の多い運転会だったので一回の走行で終了とした。雨空にも追い立てを食ったようである。ただ、適度の湿度と寒さのおかげで白煙を横になびかせて走る様は実機を彷彿とさせてくれる。
参加者のみなさんも、ドラフトの綺麗な冬場のライブを楽しんでいたようである。
岩岡さんのタンク式マレーBR96が無事復調なって元気よく走っていた。微妙な調整が必要な機関車のようでこれでもまだ完全でなく、給水回りにまだ調整が残っているとのことである。
サイドタンクが実物通りに作られていることから見るからに調整が難しいようである。スケール通り作られた部分を生身の人間が操作するのであるから、これは大変だと思った。(汗)

     <精緻な構造を持ったマレー式タンクBR96。本日は好調でした。>

 YLSCの伊藤会長はじめ会員のみなさんは、それぞれ思い思いの車両を持ち寄られて楽しんであられたが、自作車両の多いのはさすがに伝統ある倶楽部であると思った。私も昔在籍していたのであるが、とてもとてもそのレベルには付いていけなかったのである。
今日の圧巻は、サザンパシフィックのデイライトのフル編成であった。が、カーブがきついのかスリップ気味でアメリカ型を編成含めてゆったりと走らせるにはかなりの緩曲線でないとつらいようである。急カーブの続く我がNゲージレイアウトではどうしようかと悩んでしまう。

      <デイライトの先頭部>


  <長大なデイライトの編成です。最後尾は入りませんでした。>

いつもより多数の人が集まった臨時運転会であったが、こうなるとトラフィック密度が高くて線路の空きを見つけるのがなかなか大変である。次回からは一台持っていき集中的に運転するのが良いのかもしれない。

    <絶好調のズビさんの機関車>

 2月末になって、このYLSCが解散することになったと聞いた。理由は、主要幹部の高齢化で会の維持が困難になったことのようである。日本のライブ界に貢献したYLSCが消え去ることで一つの時代が終わったような気がする。その後継として北裏鉄道が前面に浮上したことは複雑な気持ちである。YLSCには創設間もない横浜・市が尾の運転場時代に入会しその後現伊藤会長宅に移転後しばらく在籍させてもらった。その頃から仕事の多忙さと遠距離になったこともあってやむなく退会してここに至ったのである。

まだ小学生だった子供たちをつれて市が尾の運転会場を走り回っていた頃が懐かしく思い出されます。YLSCでは色々な方と知り合うことができました。そういえば、故、渡辺精一さんもお孫さんを連れてよく運転されていました。
大変ご苦労様でした伊藤会長。そしてありがとうございました。(2005.3.3)







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