からくり鐡道の仲間達

2005.8.15 N&W Y6b(Nゲージ) '07.7.9追記


 この2-8-8-2複式のマレー(Mallet)型Nゲージ蒸気式機関車は、我が家での最初のマレー型機関車です。本物では、ボイラーからの蒸気が後部の固定されたピストンに送り込まれ動輪をうごかし、その排気を再び前部の巨大な第二シリンダーへ送り込み残ったエネルギーで再びピストンを駆動する仕掛けです。つまり二組のピストンが直列につながれており、蒸気はエネルギー放出しながら機関車を駆けめぐるのです。最初のピストンでは高圧の蒸気なので小さな直径です、次のピストンは後部エンジンで既に利用された蒸気から更にエネルギーを引き出すために巨大な直径のピストンになっています。
機関車としては、高圧蒸気を前後で同時に使った方が効率がいいのですが、線路に合わせて左右に動く前部エンジンへのパイプのジョイント部からの蒸気漏れを防止できなかったために前部は低圧蒸気を送るという複式マレー型となっていたのです。高圧蒸気を前後のエンジンに供給する単式マレー型が主流となったのはチャレンジャーが出現した頃だったと思います。

 <巨大な低圧シリンダーを持つ機関車>

 このNゲージ模型は、独逸のレーバ(ROWA)社製品で機能的なプラスチックケースに収まっています。 あやふやな記憶で恐縮ですが、実物は、第一次大戦頃のアメリカ鉄道の統一規格で作られたものと聞いています。一般のアメリカ型と成り立ちの異なる機関車だなぁーと思ったことを覚えています。
炭水車に付いた望楼の起源は、大恐慌時代のアメリカを鉄道をただ乗りして職を求めて国中を放浪したhoboと呼ばれる浮浪者を監視するためのものだったとものの本で読んだことがあります。(ちと疑問?)hoboの姿は「北国の帝王」というリー・マービン主演の映画をご覧になった方には理解いただけることと思います。カントリーミュージックには鉄道が頻繁に登場し、そのどこかしこにhoboのことが唄われている。その当時は至る所で見受けられた懐かしくも貧しい光景であったと思います。今の米国からは想像できないことですが、数十年前そうであったのだから数十年後はどうなるか分かったものではありません。その時の我が國の姿を思うと身がすくんでしまいます。
この機関車を眺めていてとんだ方向に走ってしまいましたが、現在のよき時代が更に続くことを願います。もっともこの機関車の作られた時代は、ずーっと後年なので既にhoboはいなかったと思います。

 ところで、この機関車の構造は、キャブ内のモーターで2組のウォームギアを介して前後の動輪へ動力を伝えています。本物のマレー(mallet)型では前部の動輪ユニットが左右にスイングし、後部は機関車に固定されている構造ですが、走行性能を重視するNゲージでは前後部ともに曲線に沿って可動する構造になっています。
半畳程のレイアウトボードに組んだ急カーブのシーナリーをロッドの動きも複雑に走るY6bを飽かず眺めていたことを懐かしく思い出します。長男がまだ1歳頃の怪獣であった時代のことでした。
このロッドがプラスチック製であったので壊れやすく、製品としてはまだ完成の域に達していません。コネクチングロッドが一カ所壊れたままになっています。テンダー台車のセンターピンも折れたので絶縁のために竹串を代替品に修理して既に20年近く経ってしまいました。それでも動くのだからこのマレーの模型はたいしたものです。(2005.8.14)


 その後、モータが焼き付き壊れてしまい廃棄一歩手前になっていたのであるが、この度修理にチャレンジし無事復活させることが出来た。その辺の事情については、からくり整備工場で紹介しているのでご覧いただきたい。この機関車は、我がからくり鐡道の原点にいる機関車なので元通りに出来て大変喜んでいる。修理方法を習得した?のでこの先長生きさせられそうである。(2007.7.9)







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