ライブスティーム雑記帳

最近のライブスチームのからくり(バークシャー)(2006.3.6)


 最近組み立てたC622バークシャーをもとに従来の構造から一歩踏み出していると思われる機構をからくりの観点で眺めてみた。ついでに実際に運転した結果について考えた。

1.バークシャー
加減弁、通風弁
 二つの弁ともレバー式となった。この二つの弁は同一のブロックにまとめられている。蒸気は太めの銅管1本でボイラーから直接供給されて加減弁、通風弁、汽笛弁に分配されるのである。

  <右加減弁、左通風弁>

この弁からの蒸気の流れは、従来の構造とは全く異なり運転用の蒸気は、いったんキャブ内に取り出して再度ボイラー内を貫通する配管を通って過熱管で再加熱した後、シリンダーへ供給している。通風用蒸気も同じである。ただし過熱はされていない。
これまでの組立のように加減弁通風弁の長いパイプをボイラーを貫通する必要がないため作業がずいぶん楽になった。

 試運転しての感想であるが、操作性はよろしい。ただテンダーを連結すると運転室天井の切り込みが狭いために指を入れるのが難しい。特にレバー式となった転機の操作は至難の業であり1/32の人間に変身して操作する必要がありそうである。(笑) 運転室の窓からドライバーを差し込んで操作すれば何とかなることが分かった。窮すれば通ずである。(汗)
操作性を上げるにはアレゲニーのように天井全体を上げる形式がいいと思うのであるが、コストアップもつらいところである。
 また、二つの弁の全閉位置は、実際に運転して自分に合わせ設定する必要がある。説明書のイラスト通りに設定したが、指を入れ辛いので通風弁は30度程度上げるのが良さそうである。いずれにしても指の大きい欧米人には厳しいと思われる。まあ、彼の地ではラジコン化するのが常識のようであるのでクレームは出ないかも知れない。


ドレイン弁
 シリンダーブロックに縦に埋め込まれた微少な弁をシリンダー上部のトリガーを偏心カムで押下して凝結水を排出するという複雑な仕掛けになっている。偏心カムの回転角度で押下される弁に順序性が出来るので実物のような動作をするとのことである。蒸気の排出は水平方向なので、左右に吹き出す様はビデオで見る実物と同じである。


    <ドレイン弁の外観>

 後述するC622ドレイン弁もよくできているが、シリンダーブロック内側から垂直に排出するので潤滑油混じりの凝結水が線路を汚すこと甚だしいので評価は今一つである。設計者はおそらくC622の結果に基づいバークシャー式のドレイン弁を考案したのではなかろうか。

    <ドレイン弁の部品>

 これらと比較するのは酷であるが、JNR9600九州型のドレイン弁はリンクの遊びが大きくて動作が不確実なので殆ど使わないままになっている。大変走行性能の高い機関車であるが、ドレイン弁だけが唯一の欠点である。後で出た北海道型9600は改造が施され確実動作になったと聞いている。
バークシャーのドレイン弁で問題は、内部に1mm径のOリングを使用しているので将来的な耐用性、部品の供給が大丈夫なのか不安がある。有機性の部品を使った場合、長期間経過後はどの様な問題が生じるのかを検討しておいていただきたい。私の1982年製クライマックスはいまだに元気であるが、シリコンゴム製のチューブはボロボロになって交換した経緯があるのでバークシャ−のドレイン弁の行く末が早くも心配である。
 そういえば昔のカメラに遮光用に使われたモルトプレーンが溶けてベタベタになってしまったことが思い浮かんだ。各メーカーが当時いい素材が出たと飛びついてこの有様である。今後のフォローをお願いしたい。
 3/4の試運転では水平にドレインが排出され、実物を彷彿とさせる光景であった。 ただし、レバー操作で排出パターンが変化するとのことであったが、運転に懸命でドレイン排出操作は会得しないままである。機関車全体の動作がまだ堅く、回転までに手間取ってそれどころではなかったのである。 走り込ませてから再チャレンジしたい。  -> 調整不良が分かり適正位置に修正(3/12)


ボイラー
 C型と仕様にあるが、典型的なC型ではなくロコ型ボイラーとC型のハイブリッド構造である。太い煙管に直接炎が呼び込まれて熱効率を下げないように煙管入り口にブリックアーチを取り付けてある。火室天井は二枚の板をステーとして入れてあり、伝導効率を上げてあるようである。


更に、水位計の構造を変えて組立を容易にしてある。 今まで何故この構造でなかったか不思議である。
 バーナーに火を付けると4本バーナーの効果もありゴォーッと云う音で燃焼を始める。かなり効率よさそうであるが、あちこちの操作に手間取って圧力を低下させてしまうので評価はこれからである。何回か運転していくうちにこの機関車の特徴を掴めるであろう。 そうそう、運転室の奥行きがあり加減弁等を支える支柱の陰になって焚き口が見えにくい。ステンレス線で拵えた釜炊き棒(仮称)と長い穂先のライターは必需品である。

(追記)
 なお、説明書に従ってバーナー芯を組み込んだが、適正な本数でないことが判明したので38-40本に減らした。併せてバーナー留め金が緩くてぐらついていたのを形状を変えてしっかり固定した。これで燃焼効率が改善されたことと思っている(3/12)


軸動ポンプ
 ポンプのシリンダー構造はT型であり、従来の構造と変わりない。設置方法が車体の両側に渡してある構造はこれまで組み立てた機関車にはない方式である。フレームへは扇形の板に3本の皿ネジで取り付けるのである。気持ちよくはまったのは精度のいい証拠であろう。ポンプのピストンは今までになく緩く、これでいいのだろうかと思ったが、ピストンリングは2条あるので漏れは起きていない。



 バークシャーの特徴的なことは以上の通りである。全体として工作精度が上がっているので気持ちよく作業を進めることが出来た。個別にはメッキ厚による堅いネジ等を散見したが満足いく品質管理レベルにあった。この品質を維持されていくことを希望する。







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