ライブスティーム雑記帳
思いつくままの運転技術(2) (2006.4.15) |
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発車オーライ
さて、やっと運転編である。(汗) 暖機操作 弁を前進フルギア(弁のポートが全開する位置)にして通風弁を閉じ、加減弁を開く。が、たいていは停止したままである。というのはボイラーから送った蒸気が冷えたエンジンで凝結水になりシリンダーやパイプに溜まっているからである。このこれを排出するために実物や大型模型のエンジンにはドレイン弁が付いており、発車時に勢いよく車輪の周りにたつ白煙はこの凝結水なのである。実物や大形ライブにはウォーターハンマーによる破壊防止のためにシリンダーに安全弁が付いている。 小型の45mmゲージでは一般的に細かい付帯装置が省略されている場合が殆どで、ドレインも排気管から煙突へ排出するのが一般的である。従って加減弁を開き前進後進を繰り返していると煙突から潤滑油混じりの黄金水が吹き出すので慣れない方は浴びないように注意を要する。 最近のアスター製品は、ドレイン弁を着けている機関車が増えておりJNR9600、C622そしてバークシャー等を思いつく。 ドレイン排出後はエンジンの暖機も終わりいつでも発車可能である。
<バークシャーのエンジン、シリンダー下部の突起がドレイン弁>
この直後に加減弁を空転しない程度に開くと走り始めるはずである。ドレイン弁とともに加減弁を更に開くと実機発車時の蒸気排出シーンを再現することが出来る。ただし冬場にお薦めの運転方法である。 ドレイン弁操作は装備しているので実施する儀式なのでボイラー圧力の低下を考えると無理にやらなくてもいいのであるが・・・・ この時点で肝心なことは、排気とともに潤滑油が霧状に排出されていることである。手をかざして油分を感じることが出来ればハイボールである。 おっと、その前に線路のポイント切り替え方向が正しくて線路上に他の列車がいないことを十二分に確認しておこう。指差し呼称をやって本当のハイボールである。(笑)
運転中の操作 小さなエンジンでは弁ポートの開き具合をきめ細かく制御してもなかなか効果がわかりにくいので弁の位置は大抵フルギア、すなわち全開にしている。この状態で加減弁を開くと可愛いドラフト音を立てながら動き始める。このとき長大な編成にしておくとドラフト音も大きくなり実機を彷彿とさせるのであるが、なかなかその機会も少ないのが悩みの種である。 吉祥寺北裏鉄道はこの環境を提供していただける数少ないところであって、毎回感謝の気持ちででいっぱいである。 運転中一番気にしなければならないのはボイラーの水位である。 最近の機関車には軸動ポンプが付いているのでテンダーの水をボイラーの圧力に打ち勝って注水することが出来る。それでも故障のことを考えると運転を始めてもしばらくの間は細心の注意を払うことにしている。というのは、水流逆止用ボールベアリングが弁座と密着していない場合もあり得るのである。組立時は弁座に叩いて密着させているが、使っているうちに付着するゴミや水垢による洩れにも注意しておかなければならない。 常時運転している場合はこの問題は少ないのであるが、中古のピカピカの機関車は、ボール弁関係の固着が意外に多いので初心者は使い込まれた機関車を入手するのがいいと思う。この辺の感覚はクラシックカメラと同じである。使い込まれたカメラが新品同様のものより絶好調である場合が多い。 しかしながら使い込んだカメラや走り込んだ機関車に大枚払って手を出すには度胸が要るものである。(汗)
余談であるが、つい最近オーバーホールを終えたばかりの昭和五年頃のライカD2に五十年ほど前のエルマー5cm/f3.5を組み合わせて今年の桜を撮ったのであるが、76歳のカメラがデジカメを凌駕する結果をもたらしたので大満足である。 蒸気機関車やクラカメのようなアナログ機械は、使い続けても陳腐さを感じさせないのがいいところであり、人間の叡智の産み出したものと思うのであるが、いかがであろうか。このような話をカミさんに聞かせると笑い飛ばされるところを見るとこんな思いはやっぱり私だけかも知れない。(汗) おっと、加減弁を開いたままにしておくと暴走するのでこのくらいにして運転に戻ることとする。
その前に燃料の話 アルコール焚き機関車は実に楽である。いったん燃焼を始めると燃え尽きるまで放置してよいので運転に専念できる。従って、バーナー芯の組み込みが重要になるのである。仮に水が無くなって空釜を炊いたとしてもドラフトが無くなり燃焼が弱まるので重大な損傷に至るまでに時間があり、停止という事象で気が付きやすいとのことである。小型ライブはアルコールが気楽でいいと思うのはこの理由からである。
石炭焚きは残念ながら未経験である。C622で可能なのであるが、次の理由から踏み切っていない。 ・燃料調達が困難 同好の氏に頼めば何とかなると思う。理想的には日本海海戦で使われた英国ウェールズ炭。先日千葉さんのC622石炭走行では煙や灰もなく優秀さを目撃した。日本の備長炭もいいと聞く。
・運転後の清掃が大変 C622は、煙室をそっくり取り外し内部の密閉用の蓋を外す必要がある。清掃にはこの構造がいいのであるが、煙室扉を開いての掃除できないので何となく手を出しかねる。
<C622の煙室 特殊な形状である>
・C622加減弁の不備 加減弁停止位置でレバーが焚き口を塞ぐ格好になり石炭投入を妨害する。運転前或いは停車時に石炭を投入するには加減弁を閉じて行うのであるが、この位置ではレバーが邪魔で投炭がしづらい。
特に最後のレバー位置は木炭焚き機関車としては設計ミスと思う。C622は極めて完成された機関車であるが、画竜点睛を欠いていた。運転仲間は、このレバーを外して延長棒で操縦するようにした上で、石炭を焚いていた。改造すれば何でもありになるのであるが、少なくとも未改造段階での完全を目指していただきたい。 なお、C622は石炭でも大変よく走っていたのをこの目で確認したので申し添えておくこととする。
さてガス焚きの難関は燃料注入である。アルコールと違って充填量が分からない。燃焼のコントロールには微妙なノズル操作が要求される。 最新のC622のガスバーナーは画期的な改善が施されているが、それでも満足いく燃焼が得られないこともある。やっぱりガス焚きは難しい。気温などの環境にシビアに反応するのである。
<改善されたC622のガスバーナー>
もう一つの課題は空釜対策である。ガスの排気はそれ自体が圧力を持って煙突から吹き出しているのでアルコール焚きと異なりブロワー無しで点火、蒸気上げができる。ということは燃焼ガス排出の動力である蒸気が出なくなってもすなわち空釜でも燃え続けるわけである。 この理由でガス釜の機関車は注水レベルに細心の注意が必要である。当然のことながら石炭で動かす場合も同様である。 大形ライブは人間が操作するのでこの心配はなさそうである。
走行中にやること 走り始めてやるべきことは、速度が安定した後、フィードバックパイプからの水の戻りを見ながらチェックバルブを加減しての注水量を調整する。 蒸気の消費量が多い機関車や運転条件では閉じたまま(水を戻さない)でいいが、普通はポタリポタリと滴が落ちる程度に僅かに開いておく。この操作は動いている機関車と併走して行うので運転環境が重要である。やっぱり腰高の線路が便利である。 が、しかし・・・・ さすがにラジコンでチェックバルブの操作までやる人はいないようである。 残念ながらラジコン化のノウハウは持ち合わせていないので記述することが出来ない。ラジコン名人栗原さんのノウハウ開示を待つほかはない。(笑) こんなところが思いついた運転技術のお話である。 お粗末様でした。 |
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