からくり整備工場
Duchess 主連棒の変形修理 (2007.8.17) |
|
2005.6.26に製作したDuchess of Southerland は、鋳鉄動輪に施された多層メッキが摩耗しクローム層が現れるとその面が鏡状となり強烈な空転を引き起こす問題に遭遇した。これはダイヤモンドルータでクローム層を切削し摩擦を増すことで解決した。それ以降は実に安定した機関車となり、四気筒による充分な牽引力、ダブルチムニーによる効率よい燃焼で好調な機関車となり現在に至っている。 ところが、一昨年のJAMのあと気が付いていたのであるが、右側主連棒が「へ」の字に変形しているのである。
<変形した右主連棒>
原因は左右の移動量が違ったのか、或いはどこかスムーズな運動を阻害する箇所・例えば水圧ポンプの衝撃、弁調整不良による引っかかりなどを疑ってみたもののすべてスムーズで問題なさそうである。 結局重症にならないまま運転を続けてきた。 ところが最近、仲間に状況を公開したところ、あっさり原因が判明したのである。 ありがとう、皆さん。(ペコリ)
<作成時の右エンジン>
答えはRC名人くりさんから出てきた。実は彼も同一機を所有しRC化しているのであるが、私の機関車ほどのひどさではないものの、少々変形しているとのことである。私の話を聞いて子細にチェックしたところ、第一動輪の連結棒の軸受け外周が主連棒を裏からこすっている。つまりクリアランス不足があるというのである。
慌てて私の機関車を確認したところ同一箇所の燐青銅と思われる軸受けブッシュの差し込みが反対側に比べて浅く、その分表側周辺が0.3mm幅で主連棒の裏をこすっているのである。 従って高速回転したあとは力のかかり方が激しくて主連棒が変形し、低速運転では発生しないという原因が判明した。 修理は、軸受けブッシュを抜き、改めてロックタイトを塗布して差し込むことで確実にクリアランスを確保できた。下記の写真のように軸受け中央が僅かに盛り上がっているのが正解であった。また、主連棒の材質は真鍮系のロストワックスなのか柔らかいように感じている。削りだした素材よりも強度がないのかなぁーと思っているのであるが、いかがなものであろうか? 灯台下暗しの原因追及不足。分かってしまえばお恥ずかしい限りである。 ともあれ8/10-12開催のJAMに持ち込みYLSCの線路で走行させたところボギー客車五両を牽引して快走、主連棒の変形も生じなかった。
<クリアランスを確保した右主連棒と連結棒>
もっとも、展示運転中に内側ピストンのクロスヘッドピンが抜けて走行不能というトラブルを起こしたが、玉田氏の支援でその場で修理を完了し、再走行させることが出来た。 時々主連棒が変形するという気持ち悪いトラブルを解決することが出来たので、この先からくり鐡道における主要な機関車として活躍してくれるものと思っている。 ちょっと安心した。 |
|
|
|