ライブスティーム雑記帳

機関車ボイラーへ一歩前進(2) (2008.7.3)


 丸胴の炙り釜からからちょっと進化したのは先に紹介したClimaxセンタフリュー型ボイラーである。アスターホビーはある時期ボイラーの中心に燃焼管を設けたガス炊き機関車を大小取り混ぜて世の中に送り出していた。その理由は定かではないがガスバーナーの取り扱いが難しかったので不評だったかも知れない。 まあ、これは私の機関車や周囲の仲間の皆さんの意見から推測するのだけれども。
このタイプの機関車は、このHomepageに採り上げているClimaxを始め、WM-SHAYNYC-HUDSONK4、・・・と思いつくのであるが、並べてみると米国型が多いようである。

巨大なボイラーの低価格化に加え、強力かつ簡便な熱源であるガスを使用するためだったのだろうか? それとも米国ユーザはガス焚きを好む人が多かったのであろうかと疑問が色々湧いてくる。
何かのおりにアスターの関係者に尋ねてみたい気がする。

ある時期を境にしてこの形式のボイラーの製品は出されていないようである。 最近は後日述べるC型ボイラーが一般的になっているようである。特定のボイラーだけになるのもいささか寂しい気がする。

他社製品についてはあまり詳しくないのであるが、最近までウチにいたアーキクラフト社の0-B-0 RUBYがこのセンターフリュー型ボイラーであった。準備を含めてものの10分もすれば走り出す簡便さはガス釜ならではである。

さて、長い期間の中断から復帰しての第一号ライブスチームは幸運なことに国鉄型960であった。この機関車はトータルバランスの取れた機関車でライブスチーム入門機として大推奨の機関車である。この機関車を普通に取り扱えるようになれば大抵のライブスチームは大丈夫だろうと自信を持って云うことが出来る。 9600はシリンダーのドレイン弁を含め実物に近い多くの機構を持っている。残念なことにボイラーの水を排出する排水弁がないことが玉に瑕なのである。
さて9600のボイラーを少し詳しく見てみよう。 このボイラーは渡辺精一さんが設計された水管併用のロコ型ボイラーである。



これが9600の断面図である。大変複雑な構造になっており、コストパフォーマンスの高い機関車だと思っている。まだ売れ残りがあると思われるので興味のある方は、買いに走りましょう。(笑)



ボイラー全体は上のような姿をしているが、これをひっくり返したものが下記の写真である。



火室を横断する水管である。左上には大煙管と3本の小煙管が見える。バーナーの炎はこの水管に直接当たるようになっている。バックヘッドは省略されており、焚き口を持つロコボイラーとは違った姿を持っている。


横倒しにしたボイラーを真後ろから見た姿である。バックヘッドがないのでちょっと変な感じがする。



完成したボイラーである。鉄板をバックヘッドとし、ロストワックスの焚き口を付けている。この焚き口は運転時に意外に活躍してくれる利用価値の高い扉である。 此処まで来ればロコ型ボイラーといってもいいかも知れない。 45mmゲージという小型サイズであっても如何にしてボイラーの性能を上げようかと設計上の工夫を凝らしているところが読み取れるようである。このようなボイラーを持つアスター製はこの9600系統だけだったようである。(続く)







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