ライブスティーム雑記帳
C型ボイラーの進化 (4) (2008.7.10) |
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4気筒エンジンLMS Duchessのボイラー JUMBO作成から数年を経て英国型機関車の渋い味にいつの間にか惹かれていた。 この結果手元に届いたのが、LMS Duchessである。詳細は作成記録などに詳しいのであるが、高圧蒸気を四気筒の全シリンダーに供給する単式多気筒機関車である。従って出力は普通の機関車の二倍、蒸気の消費量も倍である。この蒸気を供給するためには通常よりも効率よいボイラーを備える必要がある。更には英国型機関車の車両限界は米国型よりも小さく定めてあり、標準軌道にも係わらず日本型と変わらないように見えてしまう。ということはボイラーも小型なのである。従って模型といえどもエンジンの蒸気消費量を上回って供給する必要があり、双方のバランスのとれた設計が必要となるのである。
Duchessの場合、ボイラー形式は煙管2本を持つC型であるが、JUMBOのように丸胴を基本とするのではなく火室部分はボイラー断面を半月状にして天板とし、板金による火室下部を装着することでロコボイラー火室相当を作り出している。凹んだ半月の下部に大きめの煙管2本と過熱管2本を備え、燃焼ガスはボイラーの丸胴底部を熱し、向きを変えて半月部の天板に当たった後に煙管に導かれる。さらに、煙室内の排気ノズルは二本、煙突もダブルストックになっており排気の効率を上げている。
この半円の下部に火室が付きバーナーが燃焼する。
過熱管は分岐した先に2本持っている。 最近はこのように疑似火室を設け、煙管へ燃焼ガスの流れを巧みに誘導することで限られた表面積を有効に利用する構造としているようである。 余談であるが、バーナーを大きくしても流体抵抗が低くて燃焼ガスの流れが速すぎると本来は熱エネルギーを放出して低温であるべき煙室の温度が上がりすぎて熱効率が悪くなるのである。 実は最近作のD51半流型がこの傾向にあるため燃焼ガスの流れを留めるブリックアーチを着けるのが良さそうである。 後にも述べたのであるが、このD51半流線型を持つ仲間はこの加工をすることで消費燃料が下がり、更に増量アルコールタンクを作ることで長距離走行を可能にしている。もちろん潤滑油タンクとのバランスをとってあることは云うまでもない。
さて、Duchessで便利だったのはこの火室扉である、小さな扉を開くとその先にバーナー芯が見えるので着火が容易である。不完全燃焼の場合の再着火や燃焼状態の確認が楽である。従来はロコ型ボイラーでなければ出来なかったことを可能にしてくれた。 最近新しくリリースされるものにはこの扉が省略されておりやや使い勝手が悪くなっている。 まあ、ラジコン名人くりさんのような場合は運転室内の煙室扉を閉鎖してサーボ置き場にしてしまうので無用の長物かも知れない。 現在作成中のEveningstarでは煙室扉は省略されており複雑で本物そっくりの外装と比べるとちと寂しい感がする。スパム缶も同様のようである。
Berkshireのボイラー Berkshireは、日本型や英吉利型と比べて巨大な2−8−4構成の蒸気機関車である。
これを駆動するエネルギーを発生するボイラーも巨大で缶水容量450CCである。 大煙管1本、中煙管2本、過熱管1本のボイラーを熱するバーナーはアスターでも珍しい4本である。此のボイラーは前出のDuchessの天板部分がさらに倍になり4本すべてのバーナーの炎が当たるようになっている。燃焼ガスがそのまま素直に煙管に導かれるのを防ぐためにブリックアーチと呼ぶ鉄板を煙管の入り口に設置している。この効果は絶大で満タンで一時間近くの走行を実現している。
もちろん牽引力も強力で米国では72両牽いて走ったという記録がある。私の持つ同型機は1.4kgの力を出すので計算上は2kgの貨車であれば、1/40の効率と見なすと30両は引けるだろう。 多分更に牽いてくれるものと確信している。 バーナーの当たる天板の広さをDuchessと比べるとその広さは4,5倍ありそうである。大煙管1本、小煙管2本、過熱管1本と意外にすっきりしている。1番ゲージとしては大容量であるが、2気筒に供給するだけの蒸気発生が出来ればいいのでこの構造で充分なのかも知れない。
火室及び扉を付けるとロコ型ボイラーのような姿に変身する。大変効率のよいボイラーと思っている。
さて完成したボイラーを走り装置に乗せて組み上げたところである。従来とは違った運転系が搭載されており、まずまずの操作性である。
D51半流型のボイラー 久々の国鉄型2−8−2ミカドである。ただし国鉄型にさほど煩悩のない小生なので標準型であればたぶん手を出さなかったのであるが半流線型という子供時代の思い出を彷彿とさせてくれる型番だったのでついつい手を挙げてしまった。これが、最近の窮乏生活の始まりとなってしまった。衝動買いをしっかり反省している。(汗) それはともかく性能上の問題を抱えつつも嘗ての鳥栖機関区での栄光ナンバーD5110を付けて出番を待っている。
ボイラーに火室を付け、一段落したところである。
ボイラーと走り装置を結合したところである。過熱管が2本煙管に差し込まれている。ボイラーから出た蒸気は煙管内を流れ、、より高温の乾いた蒸気となってシリンダーに送り込まれるのである。 このボイラーは、Berkshireによく似た大煙管2本、過熱管2本を持つ構造であるが、火室から煙管、煙室への流れへの流体抵抗が小さくてあっという間に通過してしまうようである。従って煙室の温度が上がりすぎて、燃焼が進み過ぎるせいかアルコール燃料の消費が大きいようである。図体の割には小容量の燃料タンクのせいもあって蒸気上げが終わったら燃料を再度満タンにして出発するというのが仲間内の不文律となっている。(苦笑) 増量タンクを作った仲間がいるほどである。
この防止策としてBerkshireのボイラーが持っていたブリックアーチを装着するのがもっとも効果ありそうである。増量タンクを作ったHG氏はステンレス板から切り出して後付でブリックアーチをバーナー軸を利用して装着しまずまずの燃料消費量の改善を図ったとのことである。 彼の素晴らしい助言によると100円ショップで扱っている小型のもんじゃ焼きのヘラがそのままブリックアーチになるというのである。早速購入し材料はそろったのであるが・・・・ あ、100円で3枚手に入ったので33円弱の素材費である。余ったヘラでもんじゃも食べることができるのである。 余談であるが、かのHG氏は、蒸気熱で発電しヘッドライトを点灯するという発電システムをC622とともにD51半流線型でも開発し、見事に点灯させているのである。
私も見倣って頑張らなければいけないのであるが、最近のNゲージレイアウト建設の余波でライブスチーム整備工事が減って線表がすっかり遅れてしまっている。(汗) |
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