ライブスティーム雑記帳

ロコ型ボイラー C622 (5) (2008.7.21)


 ボイラーのお話の締めは、やっと手にしたロコ型ボイラーである。この形式がもっとも本物に近い構造であり、石炭で動かしたい向きには必須のボイラーである。 これまで紹介したボイラーとの違いは火を燃やす火室が独立していることである。 火室とは、石炭を投入する火室扉から見える石炭が燃えさかる部屋のことで前後左右と天井の上にもお湯が沸いているのである。火室とボイラーの形状で様々な名前が付けられているがそれらについてはものの本を参照していただきたい。
下図は以前供給されたC623のボイラーの構造と思われるが、此処で紹介するC622はガスと石炭の併用型である。






 さて、私の所有する唯一のロコボイラー機関車は、アスターホビー製の国鉄型C622 1/32 45mmゲージである。ロコボイラー型機関車はなかなか発売されることがなく、発売されたとしても高価で簡単に手を出せるものではなかった。 Bigboyアレゲニー、ガーラットといえば分かっていただく方も多いと思う。 日本型ではC62,D51がロコ型ボイラーだったようであるが、何故か縁がなく、先年やっと作製する機会を得たのである。それが排煙板に燕マークを持つ栄光の?C622であったので喜びは尚更であった。


C622 ロコボイラー
アスター三〇周年記念とかで発売になったのがC622である。 機関車全体が新しい設計となっており、これまでのライブスチームとは一線を画したユニークな構造の機関車である。 あまりにも複雑で凝った設計なのではっきり言ってメーカーはあまり利益をとれなかったのではないかと思うほどである。特に事前予約をして安く?入手した身としては、恐縮至極である。 ワクワクしながらの製作過程の詳細は、Homepageに紹介しているので構造を含め従来の機関車との違いを味わっていただきたい。 この文章では製作記においてさらりと流してしまったボイラーについて特徴と製作時のエピソードを述べることとする。ロコ型ボイラーのイメージを汲み取っていただければ幸いである。 「何んーだ45mmか。」と思われる方も多いと思われるが、小さなボイラーの役不足は承知の上でのレポートであることはご承知おきいただきたい。(苦笑)


C622組み立てキットが到着し最初にロコ型ボイラーと云うことを実感したのは、投炭用スコップが付いていたことである。更には火室の下に敷くステンレス製でレーザーカットされた火床を見てにんまりしたことを覚えている。
もちろんこれまでと違った新しいメカニズムに心が弾み、機関車の下回りが圧縮空気で動いたときの嬉しさはついこの間のような気がする。 下回りが一段落し、紙に包まれた溶接済みのボイラーを取り出すと、銅色に輝く姿は大変存在感のあるものであった。


火室から大煙管1本、小煙管4本がボイラーの先に伸びており、煙管の数が多いと機関車ボイラーのような気がするから不思議なものである。大煙管には煙室内から過熱管が一本挿入される。
火室は比較的小さな容積なのでブリックアーチはなく、燃焼ガスは天板に当たって4本の煙管に導かれることになる。
円筒にかかる圧力に比べ火室のような矩形部分での耐圧は更に強化する必要があり、実物では多数のステーと呼ぶボルトで火室内外の金属板を補強するとともに天板と安全弁等の付属物が乗る外板間もボイラー内の金属板で支えている。

 さて、此のC622のボイラーは、ご覧のようにステー数は少ないものの正当なロコボイラーの構造になっている。 作成中に隅々までの写真を撮っていなかったので今となっては手元の写真で確認するしかないのである。



 円筒と平面の組み合わせとなる模型ボイラーの設計については、ライブスチーム草分である渡辺精一さんの著書「ライブスチーム」(誠文堂新光社)に詳しいので、この本を探し出して(とても高価)一読されると設計の一端が分かるかも知れない。 平岡幸三さんの「生きた蒸気機関車を作ろう」や「ライブスチームのシェイ」(機芸出版)には更に詳しい話が記述されている。更には工具の使い方も微細なレベルまで書いてあるのでライブスチームファンにはお勧めの一冊である。



前方から見たC622のボイラー。エアテストのための装備をした姿だと思う。


以上で小生の拙いボイラーのお話はお終いである。あらためてアスターホビー米国のイラストを拝借したことをお礼申し上げます。 またこれからネタ探しであるが、弁のような難しいお話は老人の頭では避けたいと思っている。さて、何にしようかな。(苦笑)







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