
GWR Castle製作記録
前回は四気筒の弁装置を組立たことを書いていた。弁の位置もおおよそ決めていたのであるが精度は低いままである。 組立説明書にはクランク各位相での蒸気口と弁の位置を詳しく述べているのであるが、じっくり見るのが面倒だったので蒸気の給排気をイメージしつつ動作を確認してしまった。 また、ニュートラル点の位置取りが肝心であるのであるが、逆転機やリンクのバックラッシュで微妙に前後するため目分量でエイヤーッと決めることにした。 いずれにしろ前進、後進における蒸気ポートの開口具合を観察しながら弁心棒へのスライド弁取り付位置の微調整を繰り返し、弁箱閉鎖の決断をした。

まず最初に内側エンジンの弁カバーを閉じて煙室の底板を載せ排気管までの仮組である。以前作ったLMS Duchessはダブルの排気管と煙突であるが、それよりも時代の古いCastle では四つの排気を一本のノズルに集約している。両者の違いが排気音にどのように影響するのか楽しみであるす。 Duchessの場合はダブルの排気機構のおかげで大変いい燃焼と排気音であった。 もちろん蒸気消費量も二気筒機関車に比べ確かに大きい結果となった。
この写真は5年前の同じ工程におけるDuchess である。 シール剤の後処理が悪いのには目をつぶっていただき配管を辿っていただきたい。 中央に排気ノズルが二本あるのがお分かりと思います。

実は、Castleの二組のエンジンは、意外に離れているので煙室を含めての取り付けがややトリッキーなところがある。順序を間違えると再分解となるので仮組は必須であるし、気が抜けない。
過熱器からの給気はこの長い管路を通って後部エンジンに送られる。これを順序立てて組み立てるのである。放熱防止に何か巻こうと思ったものの、シリンダーカバーから煙室までは真鍮製鋳物の配管が覆うのでこのままとした。

煙室内下部の焼き付き防止のためにセラミックシートを貼り、排気管と排気ノズルを締め付けた。エアテストのために過熱管を仮装着するのであるが、まだ外側エンジンは開いたままである。順序を間違うとパーなのでのんびり進めることとした。セラミックシートは何気なく印刷箇所の部分を切り抜いたので赤い煙室になってしまった。いずれ汚れるからこれでいいことにする。(汗)

長い給気管を過熱器に接続してエアテストの準備終了である。過熱管はあくまでも仮組なのでシール剤は付けずに空気が漏れない程度に締め付けた。この工程ではエンジン部からのエア漏れがなければいいのである。それに肝心なのは回転するということである。 各コンポーネントは個別には軽く動くのであるが、組立後は各部の摩擦や誤差が累積されて手で回すのがやっとになるのは毎度のことである。 初めての人は不安になりつい各部を緩めるのかもしれない。 この渋い重さが運転会に数回出場させると軽やかになるから不思議である。軽くなったからどこからか漏れるというわけではないので経験的に安心している。

さて、エアテストは過熱器の上部にあるねじ穴から圧縮空気を入れることになる。この口は完成すると潤滑油の給油口になるのであるが、エアで回す場合は潤滑油の供給ができないので弁室を閉じる際にあらかじめたっぷりの軽いマシン油を弁内に入れておいた。 ところが、エアテストは違う場所で実施したので残念ながら写真を撮り忘れていた。
エアテストのあらましは次の通りです。
圧力は2kg/cm2、弁は前進位置とする。最初は堅くて回転しなかったが、第一動輪を手で回すとぎこちなく回り始めました。 時折息継ぎするようですが、排気管からの油混じりのドラフトは規則正しい周期で排出されたのでよしとした。 この状態で1,2分経過すると手を添えることもなく回転するようになりホッとしたのである。 逆転機を後進に入れて逆回転を確認しましたが、前進の方が調子よさそうである。この操作を数回繰り返すとだいぶ調子が出てきたようである。 エンジン部門としては検査OK、更に鬼門の給水ポンプの作動を確認したが、今回は間違いはなさそうである。 |
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