ライブスティーム雑記帳
機関車考(1) ライブスチーム活性化(2010.12.22) |
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1.はじめに これまでに運転し、組み立てたことのある45mmライブスチーム各機関車の感想をユーザの立場で紹介してみたい。ささやかな素人の経験談であるが、ライブスチームとは何かについて、その楽しみと現実を語ることでライブスチーム人口を増やす一助になれば幸いである。 ただし、このサイトに目を通している方というよりそれ以外の普通の皆さんが対象なのでここで語っているだけではちと問題である。(苦笑) ライブスチームに興味を持つ人は多いのであるが、「すごいなぁー。」と云われている段階では趣味としての認知度もまだまだの世界である。 「どうしてそうなんだろう?」と考えてみると以下に述べる課題がありそうである。
些少なことや噂話も含めて課題を列記することとした。課題が見えれば原因分析と解決方法を逐一具体化すればいいのである。しかしながらそれは小生の仕事ではないのであるけど。(苦笑) アスターホビーはじめ関連各社の奮起を願う次第である。
ところで、この項目ではこれまで扱ったことのある45mmライブスチームの中味やエピソードを総論から各論へと展開しながら気の向くままに語ってみようと思う。 これでライブスチームへの興味を少しでも持っていただける方が増えてこの世界の裾野が拡がればいいと考えたのであるが、どうなることだろう?(笑)
2.ライブスチーム隆盛への課題(笑)
・絶対的なライブスチーム人口が少ない。 人口が少ないと云うことは趣味人のバリエーションに乏しくて日本のあちこちのライブスチーム会合で、何処かで会ったことのある人に遭遇してしまう確率が高い。それはそれで楽しいのであるが、同じ仲間内で傷を舐めあっているような気がしてしまう。 これはマイナーな趣味の典型的例ではないだろうか。 現時点でライブスチームが老若男女に楽しまれているのであればこの先を楽観できるのであるが、全く駄目なのが現状である。(涙) 他の課題とも大いに関連しているのであるが、まずは趣味する人口の増加が必要である。 ライブスチーム人口を増やすためにはどのような手を打てばいいのだろうかという基本的なことを冒頭に掲げた。
・初期費用が大きい。 テレビ受けのする大型機関車が現れると必ず云われるのが「もの凄く金がかかっていますね。」である。 確かに精密な機関車は大型機でなくても45mmゲージの機関車であっても大変高価なものとなっている。 ところが、動作原理を学ぶレベルの素朴なライブスチームであれば意外な低価格で作成または完成品を入手可能である。 最近の円安の時代であれば尚更である。しかしながら、相変わらず円高で甘い汁を稼ぐ業者も多いのか高値安定の輸入機関車がが多いのは愛好家を馬鹿にしていると思ってしまう。 まあそれでもアキュのような欧州ブランド(中国製)は安く手に入るようである。ただし機構的な点、耐久性・精密度については保証の限りではない。壊れる事例にたびたび遭遇する。 このような現状を見ていると興味ある人たちをこの世界に導く上では費用の障壁は意外に低いのではないかと思っている。
・動作原理が複雑である。(そうとは云えないのだが。) スイッチオンすると動き出す電気で動く蒸気機関車模型に比べ、ライブスチームは動作原理をある程度知っておく必要がある。これは、安全と楽しさを同居させるには必要なことである。更には本物の知識と工作力も必要である。 ライブスチームは実物と同様に自らの動力源を使って蒸気を発生し、エンジンを駆動するプラント模型である。電気のような外部エネルギーを使用しないことは、エネルギー発生機構のための複雑な機構が必要となる。 ディーゼル機関車であっても本物と同じ機構を実現したものは、模型用グローエンジンで発電機を回し、発生した電力で台車のモーターを駆動している。 蒸気機関車ほどではないが、エンジン、燃料タンク、冷却装置、速度制御装置などの仕掛けが必要である。 つまり、自前でエネルギーを発生して走行させる場合は蒸気機関車でなくとも複雑な運転装置が必要なのである。 写真はワダワークス製のGP-9である。ラジコンで運転をコントロールしている。
・広い運転スペースが必要である。 線路幅がNゲージなどの馴染みのサイズより大きいために運転する場所の確保が容易ではない。Nゲージでは畳一畳でそれなりに楽しむことができるが、45mmゲージでは最低数坪と跳ね上がってしまう。 この解決は永遠の課題である。ドラえもんの縮小ライトがあれば話は別であるが、自分で何とかしなければならないのがつらいところである。動作そのものは運転コロの上で確認できるのであるが、従輪を含め機関車全体の動作確認は線路を走らせる必要がある。 私の場合は吉祥寺北裏鉄道の運転会を利用させてもらっているが、この環境がなければ極悪な線路状態を臨時に作って乗り切ることになったかもしれない。市川ライブスチームクラブのように行政を巻き込むレベルまで育成しなければならないと思う最近であるが、人を乗せられない45mmクラスのライブスチームには公共性と云う観点からは当面無理な話である。蒸気機関の技術史的視点から見て貰うのがいいのであるが、産業革命を経験していない我が国に望むのはやっぱり無理なのかも知れない。
・機械好きが若年層から消えている。 バーチャルなゲームやシミュレーションソフトに馴染むあまり、リアルなものから離れる傾向にある。複雑な機械類を見るのが怖いのであろうか? 手続きを踏む小難しいことは知りたくないのかもしれない。 のっぺりとした若者像が何となく定着しているような気がするのであるが、それとは真逆の姿を持つ蒸気機関車は好まれないのかも知れない。 このようなことは、ライブスチーム趣味だけに云えることではないのであるが。
・後進育成感覚が欠如している。 オタクは得てして陥りやすいのであるが、自分達だけが楽しんでしまい、後進の育成は二の次のように感じる。趣味なので無理強いする必要はない価値観があるのかもしれないが、それでは裾野は拡がらない。広義の理科少年の育成から始める必要がある。
・機材提供メーカーが少ない。 材料・組立素材を提供しているメーカーが少なく、かつ中小企業が大多数な為に景気の変動をもろに受けやすい。 メジャーな産業ではないので仕方がないと言い切ればそれまでであるが、ないとなれば我々は大変困るのである。ここは各企業ともアンテナを高くあげ、自らの努力で生き延びてほしい。特にアスターホビーさんには強く申し入れたい。そうそう、退職老人に期待するよりも現役世代にターゲットを当てるべきであろう。 それは私のことで無し。(笑)
・貧弱な流通市場である。 趣味として認知度が低いので中古市場が貧弱である。動かないものが流通し、単なるディスプレイと化している。現に私もこれまでに数台の展示モデルを比較的安価で入手したものの綺麗な割には全く動かない機関車が多かった。経験の浅い人が動くまでに調整するのは困難である。お宝を入手したものの諦めて売り飛ばした人もいたようである。確実に動くライブスチームを安価で流通させる仕掛けが必要である。 綺麗なものに高い値がつく、機械模型にとってはあまり好ましいことではない。
・趣味からの実益感がない。 パソコン・Internetのように趣味から知識やお金などの実利を得ることの出来る趣味があるものの、ライブスチームでは売買を除いてまずあり得ない世界である。逆に名前の通りに「金失道(てつどう)」である。とはいえ、本来趣味とはそんなものである。 「ライブスチーム趣味は、理科系頭脳の育成に絶大な効果があります。」とでも云ってPTAの推薦を得るようにチャレンジすることも必要かも知れない。無理な話だろうなぁー(汗)。
さて思いつくままに課題を挙げてみたもののそれらの収束にはどうしたらいいものだろうか?肩の力を抜いて言えるのは、
遊んでみたい趣味にする。 メカニズムを好き人間を増やす。
ということだろうか。
この趣味に入る前には蒸気機関車のメカニズムをよく分かっていなかったのであるが、その「からくり」を一歩二歩と掘り下げていくうちに興味が湧き、好きこそものの上手なれになってきたようである。 まあ、理解した領域が広がった程度と思うのであるが、それでも全体の20%以下かも知れない。 電動模型では、それらしく動けばいいという適度なレベルで妥協すれば何とかなるのであるが、ライブスチームでは曖昧さが許されない。 かえってその難しさ、ややこしさがあるのでいいと思う自虐的趣味なのかも知れない。 マイナーな趣味世界でありながら奥深くて逃げ出せなくなった甘美な世界(笑)に貴方もどうぞ。 |
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