ライブスティーム雑記帳

機関車考(2) お気に入りは?(2020.12.22)


お気に入りは何だろう?

手始めに最近のライブスチームを総括をしてみよう。
ライブスチームで一番のお気に入りは何かと問われ、年によって揺れ動くのが好みの機関車なのである。 昨年であれば不動の模型を入手し、殆ど分解して無事に再生できたWestern Maryland Shay であったが、蒸気機関車の技術史やメカニズムを知るにつれて一筋縄では語ることのできない複雑さにすっかり魅了されたのが、英国の機関車である。5年前にエンジ色でスマートな車体に惹かれ作り上げたのがLMS鐵道のDuchessであったが、この機関車の故事来歴などは全く意識せずに英国機関車史上最強の蒸気機関車であったことを知ったのはつい最近である。一流なものは説明がなくてもにじみ出る風格があるということのいい例であった。
ということで最近はこのDuchessに始まる英国の蒸気機関車に取り付かれているようである。Castle、 King という四気筒機関車がいつの間にか勢揃である。そして異様な形態のSpam Can は三気筒機関車である。



 ところで、2000年代初頭、アスターホビーでは新メカニズムを入れた機関車を世に送り出していた。いずれも新設計担当者が考案した方式のようであり、小生のサイトでもそのあらましを紹介したことがある。 その新メカニズムへの評価は製品寿命の長いライブスチームであるがゆえに、これからになるのであろうが、旧来の設計を打ち破ったものであったのは評価している。10年後どう評価するかは予断できないのであるが。

 というのは、これらの設計は、ライブスチームの性格を十分理解した上とは言えないため課題も色々ある。 JNR C622 は、石炭炊きも可能な大型機であるが、明らかな欠点は、ドレイン排出孔が線路の真上にあるため確実に線路を汚すことである。 また、加減弁の閉位置ではレバーが真下を向くために停車時の投炭が困難なことである。仲間はオリジナルな加減弁を廃して延長棒で操作性を改善している。
もう一つある、通風弁を全閉しても燃焼効果を配慮して僅かに通風を残す設計になっている。その効果の程は疑問である。必要があれば通風弁を開けばいいのである。 組立時の密閉加圧試験がそのままでは困難であった。この設計は余計であると思っている。
このような微細な特徴は説明書では読み取れないので持ち主が変わる度に申し送らなければならないだろう。

一方、Duchessは、ライブスチームのオーソドックスな設計を踏襲しており、古くさく感じることも否めないのであるが、五年間運転してみてその確実な動作には愛着を覚えている。流線型にも通じる車両限界ぎりぎりのエンジ色の車体には優美さとともに精悍さも漂っている。この機関車が四気筒の強力なシリンダーを持っているとは殆どの人に知られていないことなのである。
あれっ、いつの間にかDuchessに話題が戻ってしまった。(ペコリ)(つづく)







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